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生前の記憶を手に入れた貴族の少年、異端へと至る  作者: トキサロ
第1章 その悪童、転生者につき
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#14-巻き起こる火の手-

連続投稿2話目

 突然現れた巨人に世間を注目する。それがその前に現れたドラゴンを地面に蹴り落とした事で脅威を感じた。

 すると用は無くなったのか巨人は手を掲げるとその上に膨大なエネルギーを溜め始め、発射。逃げるレリギオン神皇国の兵士とそのジーマノイドを文字通り消し飛ばした。


「そうか……簡単な事だったんだ……」


 まるで上等なおもちゃを見つけたと言わんばかりに笑みを浮かべる。


「最初からすべて壊してしまえば良かったんだ……簡単な事じゃないか」


 子どもの声。それで聞いていたすべての人間があの巨人が誰かを理解した。


『調子に乗るな、人間がァッ!!』


 光線を放つ黒竜級。しかし巨人も同様に光線を放ち相殺した。


『何故ドラゴン族の息吹を放てる⁉』

「見様見真似かなぁ。まぁでも、別にどうでもいいんだよ―――ミキシングストーム」


 すると先程レリギオン神皇国のジーマノイドを消し飛ばしたあの竜巻が黒竜級に襲い掛かった。それをまともに食らった黒竜級は身体から鱗を剥がされながらダメージを食らう。

 ミキシングストームと呼ばれた魔法によって舞った鱗はすべて巨人が重力魔法で吸い込み、回収した。


『人が災害級魔法というものの威力がこれか。我にすら有効とは思わな―――』


 黒竜級の顔が思いっきり殴られた。相手の巨人はさらに黒竜級の長い首を掴んで背負い投げの要領で地面に叩きつけ、馬乗りになり何度も殴りつけた。


「コピーアーム、サウザンド」


 するとベイルの肩からそれぞれ五百本ずつ腕が現れて殴る、殴る、殴り続ける。黒竜級はそれを打破しようと息吹を吐こうとしたが、何本かの腕が黒竜級の首を拘束。さらには口を塞がれた事で防がれた。

 ダメージを受けて楽しむ。少しの間、何かを考えていたが決めたようで笑顔を向けた。


「メテオスコール」


 すると上空から流星群が降り注ぎ、次々とジーマノイドを、中にいる搭乗者を破壊した。無慈悲に行われる殺戮を見て誰もが戦慄する。


『何故そこまでする……? 少し前のお前にはまだ慈悲というものがあったはずだ。なのに、何故―――』

「え? もういらなくない、それ」


 馬鹿にするような声で黒竜級に言った巨人。


「だってこいつら、俺を殺す為に来たんだよ? そもそも俺が人を殺したのだって向こうが非武装の人間を俺が存在するとか訳の分からない理由で殺したのがきっかけなんだし、そもそもさっきの災害級魔法なんてさ、九歳の時に普通にできたっていうのにさ」


 とケラケラと笑う巨人。それを聞きながら逃げていたものは全員が戦慄していた。


「だから殺すんだよ、俺の邪魔をする奴は全部。そこに王族や人やドラゴン、亜人も魔族も何も関係ない。俺が欲しいものは捧げ、要らないものは大人しくするなら別に良い。そうしないから―――こいつらは死ぬんだ」


 巨人が指を鳴らすとどこからともなく水がなだれ込み、さらにはそこに電気が流れる。しまいには所々が爆発して次々と人が死んでいった。

 黒竜級は次は自分だと理解して巨人に向けて魔法を行使。それは―――炎と地の融合属性。ボルケーノ。

 巨人は軽やかな動きで黒竜級から離れ、指を鳴らすと周囲を凍結させた。すると巨人の形が変わり、巨大な黒い龍となった。


『何故……何故お前がその姿を知っている⁉』


 動揺する黒竜級。しかし巨大龍は尾を使って黒竜級を縛って猛スピードで空を飛んだ。マッハに到達した巨大龍は成層圏へと到達してそこから自身に重力魔法をかけて拘束落下を始めた。

 出鱈目な行動だが巨大龍はその場で回転して地面に叩きつけられ、衝撃で生じたヒビからマグマが黒竜級に襲い掛かり悲鳴を上げる。


「インフェルノエクスプロージョン」


 炎属性災害級魔法、インフェルノエクスプロージョン。

 それを唱えた巨大龍は黒竜級から離れると、爆発を味わった黒竜級は悲鳴を上げる。

 巨大龍から巨人へと姿を変え、自分の身長に相当する斧部分が両刃のハルバードを出して膨大な魔力をハルバードに宿して首を切断した。

 膨大な血をまき散らして落ちるドラゴン。巨人はどこからともなく瓶を出して血をすべて吸い取り、死体と血液を異空庫にしまった。そこまで完了した巨人は高笑いした。


 その姿を見ていたジュリアナは戦慄した。他の国のジーマノイドが破壊されるのはまだ良い。だがあの化け物が自分の娘を今後犯す事を考えれば受け入れられなかった。

 だからこそ彼女は予め準備をしていた兵器の照準を、崩れていく土壁から姿を現す巨人に向けて照準を合わせる。


(シャロン、ごめんなさい……でも私は、アレを息子として受け入れたくないの!)


 スイッチを入れたジュリアナ。そして―――その巨人に向かって一本の巨矢が飛んでいく。巨人はその事に気付いておらず胸に刺さった。

 だがその矢は特別製であり、先端に大量の爆薬が備わっている。刺さった衝撃でタイマーが作動するタイプのものだ。


「……これで良いのよ」


 元々ジュリアナはベイルの事が気に入らなかった。王族に対して敬意を払わず傍若無人に振る舞う様はある意味王政を脅かす態度となる。そしてそれを当たり前のように受け入れている娘にも。シャロンが王位を望まなくなったのは良い傾向でそれは感謝している。だが、それだけだ。

 バタバタと音がする。ドアが開かれた時に自分の娘―――シャロンが入って来た事を確認したジュリアナは理解した。


「……どうして」


 泣きそうになっているシャロン。彼女の手にはナイフが握られている。


「これで良いのよ、シャロン」


 その言葉を聞いた時、シャロンは自分の母親であるジュリアナを刺そうと走って近付く。ジュリアナは抵抗するつもりは無いようで抵抗しないが、ナイフは彼女に届く事は無かった。シャロンが持っていたナイフを掴むように機械の黒いドラゴンが噛んで止めているのだ。


「……まさか」


 ドラゴンがナイフを噛み砕いて破壊した後、口の中から紙を吐き出した。紙は自動的に開いて文字が浮かび上がる。


『こいつの世話を頼む。魔力を注ぎこむだけで良いから』


 黒いドラゴンはシャロンの右肩に乗ると顔をこすりつけた。その時さらにバタバタと音が聞こえてウォーレンが現れた。


「……何をやったんだ……」

「私が彼を……あの巨人を撃ちました」


 その巨人は今、身体を失い徐々に崩壊していく。しかし一向にベイルからの連絡は無い。


「……お前は」

「戻りましょう、お父様」

「だがな―――」


 するとドラゴンがウォーレンにタックルした。バランスを崩したウォーレンはそのままジュリアナの豊満な胸に飛び込んでしまう。その上からドラゴンが何かの液をかけた後、シャロンを連れて外に出た。


「お、おい、何をしたんだ!」


 外の喧騒にかき消される。そして外では一体何が起こっているのだろうという疑問を抱きながらウォーレンは自分の身体がある状態になっている事に気付いた。


 そんな事になっているとは知らず、シャロンは階段を降りていくと騒がしい事に気付く。


「何かあったの?」


 近くで慌しくしている兵士に声をかけるシャロン。すると彼女に気付いた兵士は敬礼をすると告げた。





 その存在が目を覚ますと、そこはとても暗かった。拘束か、もしくは特殊な薬を投入されているのか身体が一切動かない。


『それで、どこまでの抽出ができそうなんだ?』

『九十パーセントとなる見込みです。それ以上となると身体自体が持たないでしょう』

『そうか。あそこまで暴れてくれ、目論見通り人族に恐怖を与えたが……』


 少し残念そうにする声が聞こえている。やがて意識が遠くなっていったのを感じると、次第に自分に力が失っていくのを感じた。


(……身体が重い)


 だが不思議と完全に体勢を変える必要はないと知り、安堵している。


(……なんだろう。これはこれで凄く……)


 眠たくなってきたのでそのまま本能に従い、身体を委ねる。




 ソレがいきなりヴァイザーの前に現れた時は本当に驚いた。特に近くにいた娘のテンションが上がりまくり、連れて行こうとするので止めるのに苦労した。

 しばらくして治療するが、体内に宿る魔力が自己治癒能力を高めていきすぐに修復を完了する。なので新たな身体を用意して抽出を開始する。いざという時に危険があると困るからだ。

 抽出を開始してしばらくした後、エラー音がスピーカーから響き渡り計器にヒビが入る。


「何だ、どうした!」

「しゅ、出力が想定を越えました。抽出停止の許可を! これ以上は―――」


 今度はソレが入っているガラス管にヒビが入り、水が漏れ始める。


「抽出停止! 元栓を締めろ!」

「元栓を締め終わりました! ですがエネルギーが許容範囲を超え各所にダメージが!」


 するとソレを閉じ込めていたガラスが割れ、ソレが姿を現すと浮かび上がる。両目を開いたソレが最後に見せたのは―――咆哮だった。

 ドラゴンすらも圧倒し、近くにいたヴァイザー以外の魔族を死に至らしめた咆哮は弱い魔族を使い物にならなくした。

 魔王としてあがめられているヴァイザーですら身体が震えているのを感じる。それほどまで危険な放置するなどヴァイザーにはできない。

 その時だった。ドアが開けられると一人の少女が入ってくる。


「フィア!」


 自分の娘の名前を呼んだヴァイザー。だがフィアは返事をせずにそのままヴァイザーの隣を通り過ぎてソレに近付く。


「待て、フィア! それは―――」


 だがソレは近付いて来るフィアに対して攻撃しない。不思議に思ったヴァイザーだが、フィアはソレに対してキスをした。すると彼女の左手の甲にハート型に鎖が巻き付いたような模様が浮かび上がる。

 その姿を見てフィアは愛おしそうにその印を見て、動かないソレの頬に触れる。


「これで今日からあなたは私の物よ、ベイル」


 またキスをするフィア。今度は深い方でヴァイザーはとても複雑そうな顔をしていた。




 ベイルの件が終了し、五ヵ国同盟に加わっているそれぞれの国の代表が一堂に会する。

 今回はいつも通りレオナルド・パルディアンが最後に現れたが、その様子はいつもと違った。


「随分としてくれたな、ウォーレン」


 ウォーレンを睨むレオナルド。周りもウォーレンに対して嫌悪感を向けるがそれはウォーレンも同様だった。


「では逆に聞かせてもらおうか。何故ベイル・ヒドゥーブルを処刑すると言っておきながらヒドゥーブル領を襲撃した?」


 本気の声色で四人を攻めるウォーレン。それにいち早く対応したのはレオナルドだ。


「なに、優秀な遺伝子を持つ者を回収しようとしたに過ぎない。常識だろう?」


 馬鹿にするように言ったレオナルドに対してウォーレンの後ろに控える従者は一瞬眉を動かした。


「それにそんな事は今はどうでもいい。それよりもあの子どものことだ。お前はどれだけ今回の事を知っていた? すべて話せ」


 高圧的な態度を取り始めたレオナルド。周りは正直楽だと思っていると、またウォーレンの後ろにいる従者が反応した。それに気付いたレオナルドは我慢ならなかったのか尋ねる。


「さっきから何なのかな、君は。ここは本来君のようにみすぼらしい人間がいてはいい場所では無いのだよ」

「これは失礼。十歳になる息子をわざわざ狙うような者たちが一体どんな人間かと思えばただ王家に生まれただけの小物かと思っただけですよ」


 立場を弁えずに発言する男に対して苛立ちを見せるレオナルドだったが、その男から放たれた重圧に怯んだ。


「落ち着け。ここでそんな事をすればたちまち戦争だ。それは流石にこちらとしてもごめん被りたい」

「………わかりました」


 不服そうにウォーレンを見るその男はとりあえずは大人しくした。


「全く。ホーグラウスには碌な人間がいないな。魔族かぶれにろくに教育をされていない護衛とは」


 と馬鹿にするレオナルド。周りは呆れているがウォーレンはずっと男の様子を伺っていた。

 その時、男は大剣をいつでも抜けるように構える。レオナルドはまさか自分を殺すのではないかと思ったが、男は冷たく言った。


「何をしている。全員、今すぐ戦闘態勢を取れ」

「おい! 誰にモノを言っている!」


 レオナルドは憤慨するが、男は構わず大剣を抜きながらモルガンの後ろに移動して振り下ろす。すると何もないところから血飛沫が舞って両断された何かが倒れた。


「ひ、ヒドゥーブル子爵」

「敵襲だ。武器を持っているものは今すぐ構えろ。足を引っ張るなよ」


 すると屋根裏から次々と魔族が姿を現す。


「お前たちの命をもらう」


 ジーマノイドではないがかなりの重装備をしている魔族たち。銃を構えてウォーレンたち各国の王たちを狙おうとするが、その間に割って入ったラルドが大剣を素早く動かして弾いた。

 あまりの神業に周りは騒然とするが、次の瞬間全員がドン引きする。何故なら―――ラルドの一振りで神殿の壁が吹き飛んだからだ。


 その異常は五ヵ国同盟の会場である神殿だけでは無かった。

 ホーグラウス、パルディアン、ブルーミング、レリギオン、ブリティランドすべてに魔族たちが生身またはジーマノイド、そしてパワードスーツで乗り込んできたのである。

 武装をしていない人間たちは次々と凶弾に倒れていく。辺りが硝煙と血が舞っていった。


「クソッ! 俺たちの攻撃の効果がわからねえ!」

「相手のジーマノイドが強すぎるんだ!」


 次々と倒れていくジーマノイドたち。すべてが空を飛んでいる―――つまりは魔族製のものだった。

 それだけでも困るというのに大軍。その光景に人間たちは絶望する。


「ヒドゥーブルからの応援はまだか!」

「いえ。おそらく向こうも対処に当たっているのかと思われます」

「……クソがッ!」


 アーロンは近くにあった物に八つ当たりをする。その時一機のジーマノイドがアーロンの近くに現れた。


「な、何をしている、グレン!」

『仕方ないでしょう。このまま秘蔵のジーマノイドを眠らせたままにするのはそれこそ惜しい』


 そう言ってグレンは単身で飛び出す。相手は多数でグレンが乗るジーマノイドを見つけた瞬間、集中砲火を浴びせた。だがグレンはそれらを避けていく。


『空も飛べない癖に随分とやる』

『だが所詮は人間。恐るるに足ら―――』


 一機の魔族側のジーマノイドに魔砲が直撃して爆散する。すぐに自分たちもさらに上空を見ると上から隕石が降り始めた。


『随分と苦戦していますね、グレン先輩』


 赤をベースに所々に黒があしらわれたドレイクーパー。変わった形をしている盾とメイスのような形の武器を持っているのが特徴的だった。


『まさか、マリアナか』

『ええ。そちらはまだ持ちこたえてくれてよかったです』


 魔族たちが動揺する中、いきなり空から雷が落ち始める。一体何かと騒ぎになったところで隕石も降り始めた。


『これは……まさか災害級魔法⁉』

『シルヴィア! 加減しなさい!』


 すると雷雲から純白のドレイクーパーが現れる。先程のマリアナの発言と技の威力にグレンは動揺を隠せなかった。


『まさか、君たちはシルヴィアにも戦わせているのか⁉』

『訂正しますと、本人の希望です。私としては今すぐ降ろしたいぐらいなんですが―――』

『でも機体を遊ばせておくのも、この機体をまともに動かせる人間もいないも、そして何より人類が無能なのは事実。使えるものは使っておかないとダメでしょう』

『だが、まだ八歳の君が戦う必要なんて―――』


 するとシルヴィアはグレンにマリアナのドレイクーパーの持つものと同じ型のメイスの先端を向ける。


『ベイルお兄様は十歳で周りから魔族と難癖付けられて殺されたんですけど? 自分たちが無能である事を棚に上げて♪』

『……それは……』


 それを言われるとグレンは何も言えなくなった。


(実際そうだ。ベイルの能力は確かに異常だったかもしれないが、それでもどちらかといえば魔族と敵対していた方だ。わざわざ彼を魔族として断罪する必要は無かった。もっとも、した結果があの惨状だが……)


 ベイル討伐によって世界に存在する戦士の数は格段に減った。特に最後までベイルを執拗に攻撃していたレリギオン神皇国は全滅であり防衛力が削がれている。他の国も派遣された九割の兵士が死亡。生き残ったのは僅かな兵士のみだった。そして今回の件で何故かホーグラウス王国に対する批判が増々大きい物になっているが、おそらく今回の件で大半の国が滅ぶのではないかという話になり始めていた。

 それほどまでベイルの所業は恐ろしいものだったのだが、むしろベイルを知る人間にしてみればそもそも今回の件からして色々と間違っているだろう。

 だが現状はその考えすら中断させられる。今の攻撃で耐えていた魔族が生き残っていたのだ。


『おのれ、人間共が!!』


 魔砲を放った魔族。それがシルヴィアのドレイクーパーに直撃しなかった。左腕に装備されている盾が防いだのだ。


『な、何故効かない! 我々魔族の魔砲は人間の盾を易々と―――』


 無情にもシルヴィアはメイスから魔砲を放って操縦者がいる腰部のコックピットに直撃させる。

 子どもが簡単にこんなことをすると思わなかったグレンは奥歯を噛み締める。


(……これが、平和にどっぷり浸かっていたものとそうでないものの差か)


 王国内にいる貴族たちはヒドゥーブル家を「貴族として相応しくない野蛮の一族」と罵る。しかし今本来貴族が果たすべき責務を果たしているのはどう考えても彼らだけであり、自分たちは弱者であると痛感させられる。


『そちらの領民はどうなっている?』

『ベイルが秘密裏に開発していたもののおかげで全員脱出はできています。ヒューリット領の者は元々ヒドゥーブル家預かりとなっていたので既に収容済。あとはこの辺りの地域ではここの領民たちぐらいでしょうか』


 マリアナが答えている最中に砂煙を立てて巨大な箱が三つもこちらに向かって来る。それを見てグレンは唖然としていた。


『ですが所詮は子どもの浅知恵。公爵家の方々を収容するには少々手狭になると思われますが……』

『構わない。むしろ気になるのはジーマノイドの収容の件だが―――』

『数機入る程度ですね』


 この世界ではジーマノイドなどの巨大兵器を運搬する方法はパーツとしてばらしたものを他のジーマノイドが台車に載せて運ぶくらいしか方法が確立していない。


『戦力は十分とは言えない、な』

『突然の事でしたから。むしろ人材を多く確保できたことには喜ぶべきでしょう。……とりあえずは』


 しかしマリアナの声からしてとても喜ばしい状況ではないと理解する。


『ところで君の他の家族は―――』

『フェルマン、ユーグ、そして母は下の箱を操縦。バルバッサ領のみなさんはユーグが操縦するものに乗ってもらいます。父は陛下と共に会議に出席。ロビンは他の者と残って例の戦艦やらを起動させる為の手伝いをしています。義姉は元から戦力として期待していないのでフェルマンと共に載せています』

『……そうか』


 その時、ヒューリット領の方から自分たちが知る以上に遥かに大きいものが浮遊状態でこちらに向かって来るを確認した。自分たちが想像するよりも遥かに大きい遺物を見てグレンはもう色々と投げ出したかった。

ちょっと駆け足気味なのは否定しません。

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