ふしぎないちご
おかあさんは、おろおろしています。
1歳のさっちゃんが、40度の熱をだしてうなされているからです。
病院で検査をしてもらっても、
「何も異常はありません。もう少し様子をみてみましょう」
と言われ帰ってきたのでした。
それでも、高い熱が続いて、いっこうに下がる気配がないのです。
おかあさんは、おばあちゃんに応援を頼んで買い物に行きました。
お店で、うどんとりんごを買いました。
(さっちゃん、うどん食べてくれるかしら)
おかあさんは急いで帰ります。
途中で、めがねのおばあちゃんに会いました。
「ずいぶん急いでるね。どうしたんだい?」
「娘が熱をだして寝込んでるんです」
「それは心配だね。このいちごを食べさせておあげ」
かごいっぱいのいちごをくれました。
「ありがとうございます」
家に帰ると、おばあちゃんが、さっちゃんを寝させてくれていました。
まだ、真っ赤な顔をしています。
「うわーん」
さっちゃんが起きて泣きだしました。
(めがねのおばあちゃんにもらったいちごをあげてみようかな)
おかあさんは、いちごを小さく切って、さっちゃんのおくちに入れました。
さっちゃんは、もぐもぐ食べると、もっと食べたいというように手をだしてきます。
いちごは、ほんのりあまい香りをさせて、さっちゃんの食欲をそそるみたい。
「このいちご、特別いい香りがするわ」
おかあさんも、びっくりしています。
さっちゃんは、いちごをぱくぱく食べると、また眠りはじめました。
ぐっすり眠っています。
おかあさんも、疲れてうとうと眠ってしまいました。
はっとおかあさんが目を覚ますと、さっちゃんが、そばで、にこにこしています。
熱をはかってみると、さがっていました。
おかあさんは、ほっとひと安心。
「あのいちご、魔法のいちごだったのかも」
おかあさんは、うふっとわらいました。