表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/40

第二章 後悔2

「うぃーっス」

「みんな、おはよー!」



俺と元気は教室に入る。俺は自分の席に座り、バッグを開けて教科書を出しながら周りを見渡す。まだ朝比奈は来ていない様だった。

「何きょろきょろしてんの、敷島君?」

声の主は星七美(ほしななみ)。俺の隣の席で、ポニーテールの眼鏡っ娘だ。

「ん? いや、別に」俺はバッグをしまう。

「なーんだ。転校生でも探してたのかと思った」

「バッ、馬鹿! ちげーよ!」

星は俺の慌てぶりにケラケラ笑い、俺の大きな声を聞きつけた元気が「どしたの! どしたの!」と叫びながらすっ飛んでくる。

「なんでもねーよ。あっち行け! シッシッ!」俺は手で払う。それでも元気は「おせーて、おせーて!」とうるさい。俺は星に顔を近づけて「マジであの女の話題は出すなよ」と囁く。

「いやー、朝比奈さんって超カワイイしいいんじゃない? ねえ、元気君」星が笑いながら言う。

「凛ちゃんはカワイイよ!」元気がはしゃぐ。

「いやだから、そういうんじゃねーんだって」俺は呆れる。



ガラガラ――。戸が開く。噂をすれば何とやら。朝比奈凛、御本人様の登場だ。

「凛ちゃーん! おはよぉー!」真っ先に食いつく元気。

「朝比奈さん、おっはよー」俺と話をしていた時より声のトーンが高くなる星。

俺は顔が強張る。例の件を考えれば当然そうなるだろう。

「あ、出雲くん、星さん、おはようございます」頭を下げる朝比奈。作られた――眩しすぎる笑顔。そして、その笑顔を俺に向け「敷島くんも、おはようございます」と、平然と言ってのける。何なんだよコイツは。

仕方がないので俺は顔を引き攣らせて「フン。おはよう」と返しそっぽを向く。



「ねぇねぇ、朝比奈さん」星が口を開く。

「なんでしょう」微笑む朝比奈。

「今日学校終わったら、空いてない? 個人的に朝比奈さんの歓迎会を開きたいなぁって思って。昨日は声を掛けそびれちゃったし」星は眼鏡をいじる。

「そんな、いいですよぉ……、星さんのその気持ちだけで十分ありがたいです」朝比奈は星の手をとって感謝する。

「ダメ! ダメ! ダメ! ぜーったい、やるんだから!」星が、半ば強引に詰め寄る。

星には悪いが、朝比奈なんかを誘ってもどうせ無理だろう。相手は業務多忙であろうエージェント様だ。と、俺は客観的に考える。

朝比奈は少し困った様な顔をした。そして少し考えた後「わかった、いいよ」と快諾。


--は?


何を考えているんだコイツは。慣れ合いも学校で目立たないための行動なのだろうか。

「わぁーい!」星は喜びをあらわにして振り向く。

「やったね! 元気君! 敷島君!」


え?


俺も入ってるのかよ。ふざけんな星。やりたきゃ勝手にやりゃあいいのに。

「歓迎会! 歓迎会!」俺の横でくるくる回る元気。

俺は溜息をつく。しかし、一体どういうつもりだ朝比奈――。俺は訝しんでいるとチャイムが鳴った。

「オラァ、席に着け」武藤が、教室に入ってくる。

慌しく各々の席に戻る生徒達。俺はその生徒達の中で、朝比奈だけを目で追っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ