表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/40

第二章 後悔1

俺は電子音の、それもとびっきりにうるさい目覚まし時計を止めて、ベッドからのそのそと這い出る。しかし、俺は朝の日差しのあまりの眩しさに、未だ目を開けられずにいる。

ようやく目を半分くらい開けられるようになったところで、ゆっくりと洗面所へ向かい水をひねり出す。両手でお椀をつくり水を溜めて――――、一気に顔へ。そこでようやく思考する。


昨日の出来事は夢ではない。

転校してきた美少女エージェント。

凶暴で凶悪なグリーンガール。

彼女らが所属する謎の組織。

にわかには信じがたいが、すべてが現実である。

おそらく朝比奈は今日も何食わぬ顔で、ほのぼのキャラを演じるのだろう。俺にとってそれは不快で不可解そのものだった。いずれにしても、今後の朝比奈の行動には十分な注意が必要のようだ。

パンとミルク。俺は極めて軽微な朝食を済ませ、制服に着替える。そしていつもどおりの時間に家を出た。




「けぇーんーとぉー!」

ヤツの声が後ろの方から聞こえた。おのれは第二の目覚まし時計か。

「おはよ!」元気少年だ。

「やあ、おはよう」俺は力なく、手をあげる。

「ねえ! ねえ! 今日も凛ちゃんってカワイイのかな!」

一日で劇的に不細工になる方がおかしいだろ。しかし、何も知らないヤツは気楽で良いな。昨日の光景をぜひ元気君に見せたいところだ。


「ところで、元気さ」俺は話を変える。

「んー、何?」

「お前ってロキのような裏世界の人間に詳しいけど……、裏世界の組織なんかはどうなんだ? 詳しいのか?」

「裏の組織? 例えばテロリスト集団とか、秘密結社とか、特務機関とかのこと?」元気は目を輝かせる。

思った通りだ。これは絶対に詳しいぞ。元気ならあいつらの組織のことも、何か知っているかもしれない。

「まあ、そんなようなヤツ」俺は答える。

「んー。ちょっとならかじってるよ! 怪盗ロキについての知識ほどじゃないけどね!」

「へえ。じゃあ、例えばだけど。全身迷彩服で、顔なんかもペイントをしていてさ、やたらと武術に長けている小学生っぽい女の子とかがさ……」


「何それ」元気が、目を丸くする。


「いや……、忘れてくれ」ちょっと具体的過ぎたと思った。

「組織を調べるのだったら個人の情報とかじゃなく、もっと大雑把な組織についての情報があったほうがわかりやすい!」

確かにそうだ。元気君、君が正解です。

俺は雑駁に説明した。先ほど言った、変てこな格好をした凶暴な少女などが属しているということ。その組織の構成員がエージェントと呼ばれていること。そして一般人には危害を加えないということ――。元気にしては珍しく、静かにして俺の言葉に耳を傾けていた。

「少し情報が少ないね! でも一般人には危害を加えないっていうのがポイントかも! ちょっと今じゃ分からないから明日でいい?」元気が解答を保留する。

明日なら分かるのかよ。凄いぞ元気。

「でも何でそんな事知りたいの?」元気が不思議そうに聞く。

「何も聞くな。今日いちごオレ買ってやるから」俺は誤魔化す。

元気はいちごオレに小躍りして喜んでいた。無邪気なものだ。しかし、すまんな元気。朝比奈に忠告されたこともあり、彼女らの名前は出すことは出来ない。お前を面倒に巻き込むわけには、いかないからな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ