表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

第一章 遭遇5

再び公園。清々しい春風は、朝比奈の髪を悪戯になびかせる。

「白々しいな、朝比奈。お前が植え込みのところで話をしていたのは、さっきの緑少女だろ」俺は痺れた右手を振る。

「あ……、えーっと……、その……」朝比奈は、言葉を濁す。

「それと別にいいぜ。素のキャラと喋り方で」

朝比奈は俯く。

「今朝、お前が自己紹介したときから気付いていた。なぁに心配するな。多分俺しか気付いてないだろ」



春風が一瞬やむ。面をゆっくりと上げて口を開く朝比奈。



「あなた本当に凄いわ。一体何者かしら?」語句には歯切れがあり、鋭くもある。あきらかに今までの朝比奈ではない。こっちが本当のスタイルなのだろう。

「俺はただのスーパー高校生だよ。っていうかお前といい、さっきの緑少女といい、何者かと問いたいのはこっちの台詞だね」

「いいわ。あなたには特別に教えてあげる。私も若葉もある組織のエージェントよ」

へえ、さっきのグリーンガールは若葉という名前なのか。そのまんまだな。まぁ、そんなことはどうでもよい。

代理人(エージェント)? つまり組織の何かを代理しているんだな? そしてそれを行うには、学校で目立つのはまずい。だから大人しくしている必要があるということか」俺は推論を述べる。

「大体そんなところね。だけど詳しいことは言えないわ。ただ、これは安心して。私達エージェントは、一般人に危害を加えることはしないわ」

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。俺がさっき受けた仕打ちは、完全に……」俺は、苦笑しながら言いかけたところを朝比奈に遮られた。

「あの蹴りは顎をかすめるためよ。若葉の蹴りを受けても、ちょっと気を失うだけだったはず。それをあなたが異常な反射神経で防御体勢に入ったものだから、若葉のターゲットポイントがずれて、直撃を受けたのね」

「ふーん。じゃあ、俺を気絶させようとしたのは、何か組織の情報を聞かれたのかと思ったのかな。実際、俺は何も聞いちゃいないけどね」

「あれは若葉の勝手な行動だから、私には分からないわ」

俺はまだ信用したわけではなかった。なぜなら、朝比奈たちの目的が分からないからだ。

「敷島健人、ひとつ忠告するわ。今日みたいな巻き添えを受けるのが嫌なら、私達の詮索はしないほうがいいわ」

そう言い放つとくるりと身を翻し去っていく、麗しのエージェント。




組織、代理人、朝比奈――。果たして、彼女は何をしているのだろうか。俺は無性に知りたくなった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ