表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/40

第一章 遭遇3

放課後――、ほうかご――、ホウカゴ――。

なんて響きの良い、美しい、そして心地の良い言葉なのだろう。学校の授業から解き放たれる、爽快感といったら表しようがない。俺は放課後の為に授業をしているのではないかと、錯覚してしまうほどだ。



「何ブツブツ言ってんだよ、健人! 早く帰ろうぜ!」元気がバッグを振り回している。

「おう、帰ろうか」

俺と元気は通学途中で会ったように家が同じ方向にあり、帰るときはほとんど一緒に帰っている。

「ねえ、今朝の話なんだけどさ!」元気が言う。

「今朝?」

「ロキだよ! ロキ!」

「なんだよ、またその話かよ。元気君。君は怪盗以外に興味はないのかね」

「違うんだよ! 聞いてくれよ! 昨夜、ロキが高層ビルの一室から盗んだのは、《列抜》っていう宝石が散りばめられた宝刀なんだけどね!」

「それがどうかしたのか?」

「二十年前に盗まれた『ミョルニルダイヤモンド』から始まって、『蜜酒の首輪』、『滴りの腕輪』……と、今まで怪盗ロキが盗んできた九つの美術品は、すべてアクセサリーにカテゴライズされるものなんだ!」元気は目を輝かせる。

「本当に詳しいな」俺は驚く。

「それでね! さっき言ったとおり、今回盗まれたのは刀なんだよね。明らかに今までのモノとは違う! そこで僕は考えたんだ。怪盗ロキは盗むものを――徐々に大きくしているのではないかと!」元気は顔の前にグーを作って言い放つ。


俺は手を叩いて称える。


「いやぁ、凄い推論だよ元気。怪盗ロキ専門家の第一人者になれそうだね」俺は本気で思う。何事も興味と情熱と努力がなければ、上手くいかないだろう。こいつならやれそうだと感じた。

それからも元気の熱論は続くのだが、それを聞いているうちにいつもの、二人が別れる交差点に着いていた。元気はまだ話し足りないといった様子だったが、俺は「また、今度聞くよ」と、苦笑いする。元気は寂しそうに別れの挨拶をして、別の道を歩いていった。



「怪盗ロキ……か」俺は一人つぶやき、自宅の方へ向かって歩き出した。

その帰り道の途中でのことだった。

俺があの朝比奈凛を公園で見かけたのだ。いや、正確にいうと、奇妙な出で立ちの少女と会話をする、朝比奈凛と遭遇するのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ