表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/40

第三章 意識4

翌朝。俺は教室内に入り、一通り挨拶を済ます。すでに学校に来ていたやつらは、通り魔の話題で持ちきりのようだった。なんせ先日の通り魔事件のことは、全国ネットで流れていたようだったし、被害者がうちのクラスメイトということもあり尚更だった。



「星さんおはよう」俺は自分の椅子を引きながら言う。

「あ、敷島君おはよ」星は無理やり笑顔をつくった。やはり元気が通り魔に襲われたこともあり、星は精神的にショックを受けている様子だった。

「ねぇ、敷島君……。私が歓迎会したのがいけなかったのかなあ。元気君があんな時間にコンビニ行ったのは、私のせいかなぁ……」星はうっすらとだが、目に涙をためていた。

「そんな事はないさ。元気のやつ、歓迎会は大賛成だったみたいだし。それにアイツがコンビニ行く時間なんか、星さんは全然関係ないと思うよ」俺は気を使う。

「そうかなぁ……」星はまだ思い悩んでいる。

「実は昨日、元気のお母さんから電話あってさ。元気、意識が戻ったんだって」

「え! ほんと!?」急に起立する星。

「ああ、本当だよ。もう学校に行きたいなんて言ってるらしいよ」俺は笑ってみせる。笑顔はあまり上手なほうではないが。

「よかったぁ……」星は胸の辺りを両手で押さえた。

「それで今日の放課後なんだけど、星さん一緒にお見舞いに行かない? 元気のお母さんの了解も得たし」

「うん。私も行きたい!」

「じゃあ、決まりね」俺はそう言いながら時計を見る。そろそろ朝比奈がくる時間だろう。そう思っていると、予想通り栗毛の美少女が教室に入ってきた。



「おはよございます」朝比奈は皆に挨拶をして自分の席に着く。チャイムが鳴るまではまだ時間があるし、俺は彼女を見舞いに誘おうと席を立つ。

「おはよう朝比奈」

「おはようございます。敷島君」上品に微笑み挨拶を返す朝比奈。学園モードにスイッチが入っている。

「今日の放課後、元気のお見舞い行こうと思うんだが、朝比奈くるか?」俺はそこまで言うと、朝比奈の耳に顔を近づけ囁く。「元気が通り魔の情報を、何か知っているかもしれないだろ」

彼女の動きが一瞬停止し、何かを考えた様子だったが、再びスイッチがオンになる。

「私も行っていいなら行きます」俺が囁いたことについては、聞こえない振りをする朝比奈。

「わかった。じゃあ放課後な」俺はそう告げて自分の席に戻った。



チャイムが鳴り、武藤が入ってくる。

「オラァ、席に着け」

また、いつも通りの光景。ただ元気がいないだけ。

そんな朝のホームルームが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ