表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/40

第三章 意識3

家に帰りついた俺は、何を見るわけでもなくテレビをつける。音声とともに、色とりどりの情報達が画面に映し出される。俺はただぼんやりとそれを眺めた。

昨日にもまして今日は様々な出来事が起こった。俺の周りで劇的な変化が生じている。何かの因果だろうか。

そんな答えのない問いばかりが頭をよぎる。

携帯電話が鳴った。テレビの音と入り混じり、何とも複雑な音を奏でる。

見慣れない携帯番号。俺は通話ボタンをプッシュした。



「――もしもし」俺は電話に出る。

「もしもし? あの……、健人……君?」元気ママの声だった。

「元気のお母さんですか。どうかしました?」

「健人君……、あのね……、元気が……うぅ……」泣いているのか? 声が震えていた。

「元気がどうかしたんですか!」俺は妙な胸騒ぎを覚える。

電話に集中しているせいだろうか。テレビはつけたままだったが、テレビの音は気にならなかった。



「元気が……、元気が意識を取り戻したの……」元気ママはそう言うと、嗚咽だけが聞こえた。

おいおい心臓に悪いな。マジで勘弁してくれ。最悪の状況を想定してしまったじゃないか。

「お母さん、良かったですね」俺自身も安心する。

「……うん、うん。ありがとうね健人君」

「元気は意識を取り戻して……、何か話しましたか?」俺は問う。

「ええ。学校に行きたいって。もちろんしかったけどね」元気ママは笑う。

「はは、そうですか。俺も今すぐにでも駆けつけたいところですが、もう夜も遅いですし明日学校が終わってからにでも伺いますよ。もちろん迷惑じゃなければですが」

「ありがとう健人君。きっと元気も喜ぶわ。じゃあまた明日ね」



俺は電話を切った。

元気が無事で本当に良かった。明日元気に会える。楽しみだ。星も連れて行ってやろうかな。

安堵した途端、テレビの雑音がうるさく感じる。俺はテレビを消す。

そうだアイツも――、朝比奈も誘ってみるか。もしかしたら、元気から通り魔の情報が手に入るかもしれないし。

被害者からの情報。それは朝比奈にとって重要なものだろう。無論、俺にとっても。



俺は窓を開ける。外に広がるのは漆黒の世界。

この漆黒の世界に紛れて殺人鬼は今も標的を探し、彷徨っているのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ