表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/40

第二章 後悔4

俺は帰宅するとベッドにダイヴした。ベッドのスプリングが音を立てながら数回跳ねると、静止した。

朝比奈のことを考える。

俺たちに近づいたのは、何か目的でもあるのだろうか。それともただの気まぐれなのだろうか。思考すれば思考するほど、真意は遠ざかっていくようだった。

まぁいい。明日には元気が朝比奈の組織についての、何らかの情報を調べ上げてくるだろう。元気は頭が弱いがその手のことなら信頼できるはずだ。

俺はベッドの上で仰向けになる。ちょっと疲れたな――。



ピピピピピピピ――。

「うわ、しまった。朝か」俺は目覚まし時計を止めようと手を伸ばしたところで、電子音の音源が時計でないことに気付く。時計の針は夜の二十二時を過ぎていた。どうやら俺は少しまどろんでしまったようだ。

俺は机の上を見る。電子音を発しているのは俺の携帯電話だった。


「もしもし」俺は電話を手にとる。

「健人、こんばんは!」と元気少年。こいつはいつも声がでかいな。俺の携帯電話の設定は、通話音量3のはずだが5くらいの大きさに聞こえる。

「どうしたんだ。元気」

「今日の朝の話だよ! 健人に頼まれた裏社会の組織のこと!」

「おう、どうした。何か分かったのか」

「分からない!」きっぱり言い切る元気。俺はずっこける。

「何だよ。分からないなら電話じゃなくても、明日学校で言えばいいだろ。じゃあね、また明日な」俺は電話を切ろうとする。

「ちょ、ちょっと待ったぁ! 切らないで! 切らないで!」

「何だよ。まだ何かあるの?」

「さっき分からないって言ったけど『詳しくは分からなかった』が正確かな!」

「ほう。じゃあ、聞こうか」

「組織からの面で調べたら、ちょっと分からなかったんだけどね。健人が言っていた凶暴な迷彩服の少女――、こっちの面から調べたらヒットしたんだ!」

「で、どうだった?」

「その少女は多数の目撃情報があって、楽しそうに独り言を言っているところを目撃した人もいる」

「迷彩しているのに、そんなに目撃されていちゃあ意味がないな」

「まぁ、そこが彼女のお茶目なところかな。おそらく彼女の名前は『若葉』だと思う。推定年齢十二歳。身長約百四十五センチ。迷彩服を好み、ありとあらゆる迷彩服姿を目撃されている。その小さな身体に似合わず、桁外れの運動神経と戦闘能力を有している。そして若葉を含めメンバーを総称して『RAINBOW(レインボウ)』と呼ぶらしい。この名称は、所属するメンバー七人のコードネームの頭文字をそれぞれ取って名付けたみたい。若葉は『WAKABA』だから『W』ってことかな。以上! こんなところだよ!」

「結構調べてくれたね、元気。ありがとう」俺は礼を言って携帯電話を切った。


ふーん、なるほど。若葉が『W』なら朝比奈凛は『R』か『A』だろうか。正体不明の集団レインボウ――、彼女らは一体何が目的なのだろうか。

そしてこの時ある事件が起こっていた。俺はそのことを知らずに、のうのうと眠っていたかと思うと、自分が情けなく無力に感じた。この事件は翌朝発覚することとなる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ