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見送る日々、過ぎ去らぬ日々

奇跡は来るのか

肺炎、抗がん剤、腸閉そく、腰痛。

様々な症状が次々に襲ってくる。

彼女の体の内部では、すでに骨に転移し、痛みのひどい状態。

でも、彼女は言う。

今の私、笑うしかないわね。


がんセンターでつらい治療を続けていたのに、

飛び出してきてしまった。

腸閉そくになりかけて

殺されかけたのよ、という。

腰痛がひどいのに、

退院してしまっていいのかな。


こうなったら、と彼女は言いかけた。

彼女は何をしたいのか。

どうしてほしいのか。

僕にできることなら何でもやる。

僕は確かにそう言った。

彼女の求めることは、奇跡。


こうなったら、奇跡が欲しいのよ。

まじめな顔をして、僕にそう言う。

僕が奇跡を呼び込め、というのか。

昔、最愛の人に死なれたことがある。

その時も、何とかして、と言われた。

私を助ける気が無いの? といわれた。

言葉の出ない僕に、彼女は言った。

私が自分で奇跡を呼び込むわ。


一人で立とうとすることは立派。

頼られることもうれしい。

でも、その思いやりと決意だけでは、

現実は越えられない。

せめて、一緒に祈りたいのだが。

但し、それには信じる心が必要なんだよ。

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