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 とある廃墟での出来事

 長崎。


 其の知名度は恐らく知らぬものは居ないだろう。

 出島やランタンフェスティバル等で有名な場所だ。

他には諏訪神社の蛇踊り等も有名である。

 

 

 此れは別の場所から引っ越し移り住んだ俺の話だ。

 元々佐世保に住んでいた俺は就職を気に長崎に引っ越した。


 昼は仕事。

 夜は遊び。


 そうして知り合いが出来るのは当然だった。

 気の合う知り合いと休みの日に彼方此方に観光に行った。



 そんなある日。


 知り合いから古ぼけたラジオを貰った。


 電源を用いないラジオ。

 不思議なラジオだった。

 明らかに年代物。

 しかも此れは相当古いものだと分かる。

 更に言えば日本で作られた物ではない。

 後で其れは鉱石ラジオと知った。


 鉱石ラジオとは、回路の一部に鉱物の結晶を用いた受信機だ。

 アンテナから拾った微弱な電波のエネルギーをそのまま利用してイヤフォンを鳴らすものだ。

 電池を使わず、電波から供給される電気だけで作動するエコな端末、それが鉱物ラジオだ。


 

 ツマミを撚る事でラジオを聞く事に興奮した俺は色々な番組を聞いた。


 驚くことに其れは何故かテレビ番組も聞けた。

 とはいえ現在ではスマホでテレビも見れる時代だから意味はない。


 だがラジオでテレビ番組を聞けるという事実に俺は興奮した。

 だから何処に行くにも鉱石ラジオを持って行った。



 そうすると面白いことが分かった。


 飛行場に持っていくと空港の通信が聞こえた。

 気のせいかと思った。

 唯のラジオ番組と思った。

 だが違った。


 試しに大村の自衛隊の近くまでラジオを持っていくと聞こえたのだ。

 自衛隊の無線などの内容が。


 警察署に行けば無線が聞こえた。

 

 挙句の果てには何故かラジオのツマミさえ弄れば携帯電話の通話内容まで聞こえた。


 面白くなった俺は色々な場所に赴き他人の通話内容を聞いて楽しんだ。



 ある時だった。


 友人と遊びに出かけた時の事だ。


 主な観光スポットは全て見て回ってしまった。



 何処の行くか?


 等と話していたときのことだ。


 友人が出ると評判の病院跡地に行こうと言い出した。

 所謂心霊スポットだ。



 だけど其処は以前俺一人で訪れた場所だった。

 長崎に住む前の話だが。


 だけど空気を読まず行かないとは言えず同行する事になった。





 


 車は酒を飲みに行った先で知り合った水商売の女の物だ。

 人数は四人で心霊スポットに行った。

 


 車からみた廃墟は遠くから見て普通の建物だった。


 車から降りた俺たちは元病院の廃墟を見上げた。

 鉱石ラジオは車に置いて行く。

 邪魔になるから。


 



 暗く朽ち果てた建物。

 人の明かりが無い病院。




 廃墟と呼ぶに相応しい建物。





 街から少し離れた山の上に有る廃墟。


 


 

 俺たちは二組に分かれた。

 建物の下で万が一の時為に待機しとく組。

 建物の中に入り探索する組。



 最初に俺は廃墟の中を探索する組に立候補した。

 以前来たことが有るので懐中電灯の少ない光でも迷わず歩けた。




 廃墟の三階から下を見下ろすと知り合いの姿が見える。

 手を振って声を掛けた。


「お~~い」

「お~~い」


 パタパタと下の二人も手を振る


「☓☓」

「☓☓」

「☓☓」

 

 下の二人の反応が嫌に良い。


 いや良すぎないか?


 二人共耳が良いんだな。


 三階からの声が聞こえるなんて。


 等と思いながら何事も無く下に降りる。

 すると何故か二人は急いで俺たちを車に載せ逃げる様にその場を後にした。


 車に乗る事数分。

 俺の鉱石ラジオが無くなっていた。

 何故か。

 必死になって探してると友人は自分が捨てたと俺に告げた。


 怒鳴りつけようとした。

 だが友人の青ざめた顔に言葉を無くす。


 鬼気迫る顔だ。


 何か有ったに違いない。


 


 此の夜のことを聞けたのは数日後の事だった。


 酒場であの日廃墟の下で起きた事を教えてくれた。



 あの時俺らが廃墟の下に手を振った時。


 三人(・・)で手を振っていたらしい。

 俺ともう一人。

 其の二人とは別に一人。

 


 廃墟の下にいた友人二人に何故か聞こえる声で。

 



 声は車の中から聞こえていた。

 鉱石ラジオから。

 何故か俺たち二人が聞こえていたらしい。

 俺たちとは別の声と共に……。




 

 



怖さを堪能したい方はロウソクの火を一本消して下さい。




後悔がなければ。

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