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何かが弾けるような音がして、ハッと目を開けた。
いつのまにか目を瞑っていたようだった。先程の思考が鈍るような感覚は無くなって、目はしっかり冴えていた。
あたりをみると、先程の破裂音は鈴村が手を叩いた音だと気づいた。
何分経ったんだ?さっき2人がこの体制になってからどのくらいこうしてた?
頭を疑問がさっとかける。本当に思い出せない。
今となってはだいぶ時間が経った気もするし、すぐだった気もする。
問いかけようと声を出そうとした途端、鈴村が気づいたように被せてきた。
「あら佐藤どうしたん?寝ぼけてるんとちゃう。
さっきからうとうとしてたし。
それより夏目ちゃんウチに送ってあげてくれる?幼馴染やし近いやろ?」
やけに捲し立てるように言われた気がしたが、そう言われてやっと夏目に目を向けた。
夏目はどこかぼんやりとしていて、いつもの元気そうな様子はない。
夏目のそばにかがみこみ顔を覗き込むが、こちらを向こうともしない。
「おい、夏目はどうしたんだよ?お前なにした」
夏目の肩を抱いて睨みつけると、帰る準備を始めようと立ち上がった鈴村がこちらを射抜くように見て言った。
「夏目ちゃんのご要望通りやよ。祓って欲しかったんやろソレ」
祓って欲しかった?どういうことだ。夏目の方をチラリとみるが相変わらず反応は無い。わけがわからず鈴村の方を見る。
するとまた小さくため息のようなものを吐いて、鞄を机から取ると、肩にかけてまた近くの席に歩いてきた。
「夏目ちゃんはたぶんクラスの子に言われて縁結びのおまじないを一緒にやったんやと思うわ。
それだけやったらよかったけど、夏目ちゃんはたまたま感じやすい子やったんやろうね。それがただの縁結びやないって気づいた」
鈴村は近づいてくる途中もたんたんと説明する。近くの席に座ると、腕を組んで夏目の方をじっと見つめる。
「どうせ中途半端なまじないやからほっとけばすぐ消えたんやろうけど、夏目ちゃんは気づいてもうた。
だから気に入られて本体ごと寄ってこようとしとった」