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鈴村は夏目の目をじっと見つめて小さく問いかける。
夏目はびっくりしたように動きを止めた。
「呪い!?そんなのやってないよ!夏目怖いの苦手だし、さすがに他人を呪うとかそこまでヤバいタイプでもないよお…」
呪いと聞いて余計怖くなったのかきゅっと腕を握る力が強くなっていた。
それを見ていた鈴村が、ふっと笑って夏目の頭にポンと手を置いた。
「まぁせやね…夏目ちゃんはそんな感じの子やないし。と、なると大方巻き込まれたか気づかんかったのどっちかやろねぇ…」
先生によく叱られる鈴村だが、最近の目玉はやはりこの目立つインナーカラーだ。外側は黒で内側の毛が薄いブルーに染まっている。その毛先をいじりながら再び森に目を向ける。
「あっちが騒がしくて気が散るわ…。で、夏目ちゃんやけど。たぶんおまじないかなんかのせいやね。縁結びかな…指になんか絡まってる。それのせいで寒気したんやと思うわ」
鈴村はため息をついて窓を閉める。
たしかに風が吹いてる音はあまりしなかったのにやけに部屋が冷えていた。秋口と言っても気温は高い。
なのに肌が冷めている気がした。
「おまじない…?って、最近流行ってるやつ?そういえばさっちゃんに言われて一緒にやったっけ…」
夏目は少し元の調子を取り戻したのか、指を顎に当てて大袈裟に考えるふりをしていた。
「おまじないってあれだろ?告白がうまくいきますようにとかテストの点が高くなりますように、とかの願いを奇怪な方法で叶えようとするわけわからん遊び」
俺がそうゆうと夏目が少し怒ったようにぷくっと頬を膨らませた。