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そして二人はお互いの内側を少し言いたい、友達という関係になった。
その日は想像世界から戻ると夕方になっていた。
やっぱり彼女が言った通りに時間の流れは現実世界と一緒、だがここに居れば二人の存在は認識されなくなるという話なのだから便利なものだ。
二人は不思議な感じだった。
初めての友達と話し合い、子供みたいに遊んだらもう嫌な学校は終わっていた。
友達という関係に想無零は嬉しく、針美守はまだ実感がなく、次の日を迎えた。
学校へ着くとある話が耳に入る。
昨日授業中に地震が起きた、と女子たちが話している。
しかも今までより大きかったと……それを知らなかったのは、昨日は彼女の世界にいたから……。
少し関係性があると思ってしまうが、そもそも地震は数年前から起きている。
人々が忘れる時間ではないが、数か月に一度か二度くらいだ。
この国はクレーターが重なっているからという理由で地震が起こりやすいと物理で習ったからこの国の人は半分気にしていないようだが、大きさが震度4はあったという話だ。
まぁ、体験していないボクからしたら実感などなく、世界の危機というものもあまり実感はない。
これでも昨日は人類では一人だけであろう力を持つ女の子と友達になったばかりだ。
教室へ向かうボクは無意識に心が少し踊っていた。自覚したのは自分の机に着いてからだ。
今日も彼女の世界に招かれた。
今回は青い地面に東京スカイツリーがそびえ立っていた。
まさかあれも想像できるなんて思っても見なかったが、彼女にとっては容易いことらしい……。
一段と明るい彼女に連れられ、上にエレベーターで昇る。
その中で彼女から想像秘話が語られた。
最初は今までと同じようにその構造を完璧に再現するために写真や資料などで補っていたが、途中でもっといい方法があったと気づく。
そう気づいたのだ。
「この現実にあるものなら、コピーのようにできるみたいで」
それはこれを作る過程で知ったやり方で東京スカイツリーはあっさりと自分の世界に顕現した。作る過程で知ったが、それはゲームの熟練度みたいだった。学校の校舎を想像する時には分からなかったのが証拠だろう。
その仕組みは詳しくは分からないが、推測として世界の狭間という世界の隣に位置するから現実世界にも物理の把握として干渉が可能だと……。
今までもこの力の事は使わないと知ることが出来なかったと思い出す。
なら逆説的にあらゆる手段を試せば、この世界の真実がわかるかもしれないと想無零はそう考えた。
頂上についた二人は真っ青な景色を眺める。物理法則は現実世界と同じなため風を感じる。
「いいね。綺麗じゃないけど……もっと」
「うん。零さんならできるよ」
ボクは楽しそうなキミの背中を押すことしかできなかった。
何もないボクが出来るのはそれだけだった。
学校へ行き、彼女の世界で時間を過ごすということが日課になっていき、彼女もどんどん力を行使していった。
東京スカイツリーから和風の建物、高層マンションなどが世界に加えられていった。
そして――
「うわッ――」
朝起きると地震が起こった。
ニュースを見ても、最近は頻繁に起きているみたいだ。
地震という現象、震源地は離れているが、位置が変わっていないらしい……。
「もし、かして――」
SNSの眺めていたボクは無意識に呟き、彼女を疑った。
地震、彼女の力である世界の狭間……何か関係しそうなものだ。
今日は彼女と出会って、初めての休日となった。
家にいるのが嫌なボクは外へ駆け出し、人気のない路地裏へと入っていく。
頭の中では彼女のことが巡っている。
あの力の詳細として世界の狭間に位置し、彼女は自分の世界の位置を世界の隣と言った。干渉が可能というのは事実で少なくとも影響する可能性はある。
でも証拠はなく、ただ人間では持ち得ない力と地震が同時に起きれば、重なり、関係してしまうのではないかと思ってしまうのはしょうがない。
疑うことはできるが、彼女にはそんな関係するとは思えない。
「はぁ~……」
いつもとは毛色が違うため息を溢す。
「あら~、珍しい人が目の前を通りましたね」
横から綺麗な声が聞こえて、向くとそこには大人が頬杖をつくのがやっとの幅と大きさの机、その前には占いと書いてある。
路地裏にそんなイメージはあるが、まさか本当に出くわすとは思わない。
その場所は建物の影となり、少し薄暗いが一人の女性が満面の笑みでこちらを見ているのは分かる。
「え、と……ボクですか?」
「他に誰がいるのかな? 別にお金を吸い取ろうなんてしませんよ。私はただの占い師、お客様の運命を占う者」
最初から不思議な雰囲気でそう告げる。
桃色の髪のポニーテールの女性、平均より少し上に胸が特徴だ。
「さぁ、こっちこっち、初回なら無料ですから!」
仕方なく近寄るとその髪色が染めた色ではないと何となくわかる。
地毛ということと誰が見ても美人と言えることから外国人かハーフということが推測できる。
「さぁ、私の占いはカードなんか使わない。使うのは水晶のみ」
今時の占い師はテンションが継続して高い。
しかも占い師という風貌から外れたお姉さんがやっているのも珍しい。
そう思うと珍しいという単語に引っかかる。
「そういえば、さっき珍しいって」
「あぁ、ごめん口が滑った。私は人の本性っていうのかな、根幹にある部分を色として見ることが出来るの、そしてキミの色は白だったから」
「白って珍しいんですか?」
「うん、別に白を彷彿とさせる何もないとかそう意味じゃないよ。その人の根源を表す色、本当に白は珍しいんだ。そうだね、確率でいうなら世界に一人いるかいないか」
「……」
からかっているのだろうか?
信用性がまだないから簡単に信じることはできないが、人を見かけで判断するとはダメだが、判断してしまう。
しかし彼女の目に迷いなどない。
それにここで占い師をやるのなら、本当に占いの力があるのだろう。
ここでやる詐欺師はいないと思い、女性の声に耳を傾けることにした。
「まぁ、キミを元気つけるのならこの白は別に不幸とかそうゆうものじゃないよ。もしそれなら世界の一人いるかいないかという情報はあり得ないし、言い方を変えるならキミは唯一だよ」
彼女は人差し指を立てて、自信満々にボクを唯一と評した。