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初の恋愛ものですが、多分ズレている。




 ボクはどこにでもいる平凡な高校生っていう文から始まる小説って多いよね。

 特に平凡な高校生って言っているけど、実は平凡でも何でもなく、その真逆だったっていうのが、一つの定番として確立している。

 だけどそれは物語上の話であって、そんな高校生は山ほど、はいないと思うけど存在はするだろう。

 そう、能力とか非現実的なことが起こる物語上のお話であり、それを真に受けるのは子供だけだ。

 だけどこんな現実、真に受けないとやっていけない。

 憂鬱は日常であり、感情が下がるのは自分の平均値である生活。


 そういえば、ニュースで見かける高校生の自殺の件。

 いじめとか原因なのは当たり前でもあるけど、中にはボクのような人はいるのだろうか……いると分かっていても別の誰かから直接聞かなければ、ボクは本当だと信じない心になってしまった。

 何も目的がなく、ただ歩き続けている人はいるらしい……。

 考えれば、目的がない人はいると何となく思うし、ある人は恵まれているのかもしれない。


 そして世界が必要としている人なのだ。

 神様が存在すれば、全員が平等になるのかな?

 じゃあこの世界は神様なんて存在しないし、神様は存在しないけど世界は存在している。

 最近思った神様以外の超存在の証明、それは世界ではないかと……。

 世界は存在し、この世界にも意思があるとするなら?

 人間の人口からして全員に役割が与えられることはない、つまり役割には限りがあり、それに当てはまらない人達は目的もなく、彷徨うことになる。


 どこかの人は人生には目的が必要と言うけど、ない人は本当にないと思う。

 探してもなければ、探す必要もない。

 存在しなければ、その行動は無駄である。


 とある物語のように絶対に! とか、何かしら補正がかかることなんてない。

 もし世界が人に役割を与えているのなら、運命など存在しない。

 物語みたいに言うなら作者である世界のシナリオ通りに話が進み、役割がある者はそれで人生が順風満帆になる。


 じゃあシナリオがない人は?


 そう、ボクが憂鬱の中でさんざん言いたい事を出して、自分の都合の良いように解釈して、いや自分の頭なんだがそれが当たり前なんだけど、それを証明した先に希望なのかわからないけど、一つの結論に辿り着いた。


 シナリオがないなら自分で書いて、歩むことが可能なのかもしれない。

 と、思ってた時期もあった。


 で、最初に戻るけど平凡な高校生から始まる分は今ではそこら中に、いやもう埋もれていっているのかもしれない。

 でも現実は変わることはない、ボクの人生の中で変わることはないだろう。

 それには人の寿命では短すぎる。


 そして平凡な高校生は現にここにいる。

 ボク、針美守しんびまもるがね。




 高校生になって、やっと四月が過ぎる頃、人間関係が最悪なボクには友達など必要なく、一人に慣れてしまっているボクは四月になって一つ気になることがあった。

 通常クラスというものは、カーストだったり、一軍とかに分かれるが同じ軍に分類されそうな女子、名前は分からない。

 友達ゼロなボクがクラスメイトの名前を覚えても仕方ないし……。


 その女子生徒なんだが、授業中はいつも低い姿勢でノートに向かっている。

 同じ壁際の列でボクは一番後ろ、その女子生徒が二つ前の席、始めは何となく目に入っただけのことだったのにボクは板書を移して、彼女をちらりと見ることが多くなった。

 

 そして本題の女子生徒だが板書を移していないみたいだ。

 ボクが常時、ちらちらと見ていたが顔を上げる動作など全くなく、では何を書いているのだろうと考えれば気になってしまう。

 だけどそんなことで異性に話しかけるなんてボクには自殺行為に等しいくらいだ。

 そんなことを考えながらいつもの帰り道で立ち寄る大きな公園に入り、とぼとぼと歩く。

 オレンジ色の黄昏の空、桜はまだ健在だ。

 中学校の時もこの道を歩いていたからもう慣れを通り越して、何も感じない。


 そんな何も感じない道を歩いていると道脇に設置されているベンチになんとその女子生徒が靴を脱ぎ、ベンチの上に黒タイツの足を乗せ、無我夢中でノートに何かを書いている。

 何であの女子生徒がここにと驚き、一度思考が停止するが再可動した途端に脳内にはノートの内容の疑問で埋まった。


 どうしよう、聞きたい。

 だけど人に話しかけるなんて、と当然のように拒絶反応が頭の中を巡る。

 もう一度、女子生徒を見るとボクに気付いていないことにほっとする。

 何かで悶えている姿を見られては困る。


 そしてまだどうするとギャルゲーの選択肢みたいに目の前に文字が現れる。

 話しかけるor話しかけない。

 でもせっかく自分が気になったこと、それが何かのきっかけになるかもしれないし、このままでは嫌だと憂鬱の中で無意識に感じていたのだ。


 恐る恐るとその人に接近する。

 近づいてみて気付いたが、小さい。

 黒髪ロングの普通の女子高校生は小さく、中学生と言っても信じられるほどの低身長であった。

あと今の姿は端から見たら、少し近寄りがたいのは分かる。

 熱中するのはいいが、何でこんな所で、家に帰ってやればいいじゃんと思いながら、彼女の目の前まで来て、身体の芯を固定するかのように強く止まる。


「あ、あの!」


 誰とも話さなかったボクの第一声。

 その声に彼女は驚く表情もせず、こちらを向いた。

 ぼぉ~としたような顔、不思議そうにボクのことを見つめる。


「え、なに?」


 短く彼女は返す。


「お、同じクラスの針美守しんびまもるなんだけど、ボク後ろの席でキミが見えるんだけど、板書映してなかったよね? でもずっとノートに、向かって何か書いているから気になっちゃって、あはは……」


 この会話が暗くならないようにと苦し紛れに文末に笑いを入れるが、効果はゼロに等しいと予想する。


「あ、これ? 気付いていたんだ……でも」


 その口調はどこかねっとり、眠たそうな声質だ。

 しかし頭の回転とは比例はしていなさそうだ。

 授業中にあれほどノートに向かって何かを書いているのだかℛ……少なくとも未知の計算式とか、本当は天才だとか……。

 まだ彼女がノートを見せる兆しもないのに、妄想が膨らむ。


「えぇ~と、嫌なら別にいいんだ。ただ思っただけだから……じゃあ、ごめん!」


 思えば、女子高校生のノートの中身を身体なんて変態じゃないか?

 年頃は同じだが、女子の方がデリケートな部分は多いのは内容を知っていなくても偏見で分かる。

 今まで我に返っていなかったようだ。

 改めて考えると自分の行動が如何にも変質者の同じだ。


 我に返ったのか、自分が恥ずかしくなる。

 一つだけ助かったのは、黄昏に照らされているため赤面は分かりにくいだろう。


「待って――」


 そのまま早く帰ろうとするボクの足を彼女の強い声によって強制的に停止したみたいになった。

 幻覚はと一瞬疑ったが……。


「何それ、別に、私は見せないって言ってないし……これじゃあまるで私が断られたみたい……その辺モヤモヤとするから、待って!」


「え……」


 ひとまず彼女に招かれ、彼女の横に座る。

 彼女はノートを閉じ、足を降ろす。


「何で?」


「え……」


「何で私に気が付いたの?」


 それは予想外の質問だ。

 ノートの前に自分に気付いた理由……。


「目に入っただけ」


「ふぅん、本当に?」


「本当だよ……え、まさか前に会ったりして――」


 そんなラブコメのようなこと……。


「――いいえ、ない」


 ときっぱりそうゆうのではなかった。


 それでも彼女の疑問は続く。


「それでも、おかしい……」


「え、何で?」


「……」


 彼女は沈黙した。

 すると大きな揺れが生じる。

 地震だ。

 最近、頻繁に起きて建物が崩れているし、世界環境も変わっているらしい……、

 少しして地震が収まり、彼女に目を向けると真剣そうな表情を浮かべ、こちらに向く。


「ごめん、明日でいい?」


「え、うん。みせてくれるの?」


「うん。キミにならいいかも、えへへ」


 彼女が笑った。

 純粋に可愛いと思った。

子供が秘密を隠す時みたいに……。


「分かった。じゃあまた明日!」


 そう言い、久しぶりに誰かに手を振った。

 その感情は、何か良いものだった。

 彼女も手を振って、ボクの心の中は彼女と話せたことで満足感でいっぱいだった。


 そしてこれも久しぶりに足取り軽く帰宅する。

 いつもだったら斜め下を向いていたが、前を向いているからか夕焼けが眩しく目を細める。

 明日に、という決まり事、約束事が出来た。

 針美守しんびまもるも子供のように約束事の前日はウキウキが止まらない。


 だが途中で重大なことに気付いた。 


「あ――」


 そういえば、と普通なら名乗り交わすべきだったことを二人は成し遂げていない。


「――名前、聞くの、忘れた」


 高校一年の四月が終わろうとしている中、ボクは人なら普通であることを彼女と話しただけで舞い上がったことで初歩的なことを忘れてしまった。


 でも約束した。

 また明日聞けばいいと彼は明日に望みを託したのだ。


 これは彼の転機であるが、自覚するのはもっと後の話だ。




【面白いと思ったら是非、下の星「☆☆☆☆☆」の評価よろしくお願いします。_(._.)_作者のモチベーションに繋がります。】

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