ふしぎな、ふしぎな、ふしぎなよる
よる、おやすみなさいのじかんだ。
「おやすみなさい」
のあいさつで、ぼくはベッドにもぐった。
めをとじて、じーっとするけど・・・。
あれっ、ねむれない。
ひつじをかぞえてみるけど、やっぱりねむれない。
まどのそとには、ぽっかりまんげつおつきさま。
まんげつがあざやかなよる。
ふんわり、ぼくはとびたった。
よるのうみへ。
つきあかりにてらされ、くろいうみがきらきらしている。
ぜんぜんこわくない。
だって、たくさんのおほしさまが、
「さあ、いこう」
って、てまねきをしているから。
ぼくは、おおきくりょうてをひろげて、よるのかぜをかんじる。
よるのくうきをすう。
つめたくて、こごえそうだけど、あったかい。
まんげつとほしたちのひかりのせいかな。
ふしぎな、ふしぎな、ふしぎなよる。
すてきな、すてきな、すてきなよるのせかい。
ぼくはいきたいところをひとっとび。
ねしずまるよるのまちを、おそらのさんぽ。
よるのゆうえんちであそぶ。
よぞら、いっぱいとびまわり、くもにのってひとやすみ。
つきのうさぎにもあって、いっしょにおもちをついた。
ほしのこんぺいとうをひとくちぱくり。
ながれぼしにのって、シューティング・ジェットコースター。
ねむっているおひさまには、こんばんわのあいさつ。
たのしいね、よるって。
ふしぎな、ふしぎな、ふしぎなよる。
ほとんどのひとたちが、ねしずまるふかいよる。
ぼくは、くもにねそべりしたをみる。
おとうさん、おかあさん、いもうとえっちゃんもねていいる。
ともだちのたっくん、あっちゃんもねている。
こどもたち、おとなも、みんなねている。
はなもきもくさもねている。
ばった、ちょうちょ、かえる、さかなもねている。
にわとり、はと、うさぎ、とら、らいおん、ぞうもねている。
よるをつかさどるふくろうが、ねぼけまなこをこすりながら、
「おい、おまえはなんでおきているんだ」
と、きいてくる。
ぼくは、そいつにウィンクをして、
「だって、きょうはそうしたいよるなんだ」
と、こたえた。
ふくろうは、へんなかおをしてそっぽをむいた。
ふしぎな、ふしぎな、ふしぎなよる。
しずかな、しずかなよる。
なんにもきこえない。
なんにもしゃべらない。
きこえるのは、ぼくのしんぞうのおとだけ。
しゃべるのは、ぼくのひとりごと。
うごくのは、ぼくのからだ。
たいくつだけど、ぜんぜんほんとはたいくつじゃない。
そんな、ふしぎなきぶん。
ふしぎな、ふしぎな、ふしぎなよる。
よるがおわりにちかづいた。
まっくらなせかいに、おひさまがおはようをつげる。
しろくせかいがかがやく。
ふくろうはおやすみ。
にわとりは、ねむいめをこすって、コケコッコー。
さぁ、よるのカーテンがあく。
おひさまが、ぱっちりめをさました。
せかいがめをさます。
そして、ぼくもめをさます。
ふしぎだ、ふしぎだ、ふしぎなよる。
めをさました。
いつものあさ。
ぼくは、おとうさん、おかあさん、えっちゃんに、
「おはよう」
のあいさつ。
かおをあらって、うがいをして、はをみがいて、
あさごはん。
ふしぎなよるのこと。
てに、にぎりしめていた。
こんぺいとう。
ほしのかけら。
ゆめじゃないんだ。
ふしぎだ、ふしぎだ、ふしぎなよる。