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「やはり何か喋ってますね」
リベットが壁のモニターを見ながら言った。
「ふむ……過去のと比べてどうかね」
「先月のは画像、音声、共に鮮明ではなかったので、これは“二ヶ月前”の映像となりますが」
ハンドヘルドコンピュータを操って接続した壁のモニターに映し出す。
「やはり喋っていますね。他のものも拝見しましたが、形態に違いは有りますが、全て同じ言語の様なものを発しているようです」
「あれに意味があれば、か」
「元は同じなのですから、可能性は低くはないと思います」
「航海士の姿は?」
「在りました。画面右端に映っています。少し見切れていますが……所長の予想通りでしたね」
「……今朝の事だが、ロシアのノヴゴロド研究所が壊滅したとの連絡が来た」
リベットは眉をしかめた。
「という事は種が」
「ああ。落ちたということだ」
「これで四ヶ所ですか。持った方……なんでしょうね」
「制御性も能力も今のところ、ウチが一番じゃないか」
「他所からは何か?」
「ああ。幾つかの所がデータとサンプルを寄越せと言ってきてるよ」
「まあ、当然でしょうね。タダで渡すのもなんですから、敵性データと引き換えにお願いします」
「勿論だ」