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白く、まあるい月から、黒いシミのようなものが滲み出てきて、それが徐々に姿を形作る。
月生物。
月の魔獣。
異世界からの訪問者。
ほろり、ほろり。パラリ、パラリと。黒く暗く深い闇を纏って獣が吠えた。
その巨躯からは想像付かぬほどに音もなく地に降り立つ。そして大きく禍々しい口を開いた。そこには表面を覆う黒よりも濃い漆黒の闇。全てを飲み干そうとするかの様な無限の虚無。
短く太い四肢。黒くざらついた様な鱗状の皮膚。大きな頭部の大部分を占める巨大な顎。
ああ、いつ見ても美しいーー。
そしてボクらは交差し、言葉を交わすように、互いを喰いあった。