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「ねえ、山崎さ。鳩について何か知ってる?」
「鳩ですか。えっと、それって前時代の生き物ですよね。絶滅したんじゃなかったですか?」
「うん」
「学生時代の授業で、鳩を含めた多くの野鳥は、月生物に食いつくされたって聞きました」
「うん。そうだね、概ね正しいよ」
「概ね、ですか?」
「僅かながらに生きているのもいるからね。鳩もその内の一つ」
「鳩って絶滅してなかったんですね!」
「うーん。正確に言うと?」
「……なんで疑問符ついてんですか」
「絶滅したとされる幾つかの生物データは保存してあるからさ。今の技術なら復元出来る。多分ね。でもそれじゃ、奴らにエサを与えるだけだしね」
「なんだ。じゃあやっぱり絶滅してるんじゃないですか」
「そうでもない」
「どっちなんですか!」
「スプートニクいるじゃん」
「それが何か?」
「んー。やっぱり何でもない」
「……主任」
「まあ何だ、絶滅から二百年もすれば変化もするさ」
「絶滅から変化って……いじりましたね?」
「バレたか」
「いったい、何と掛け合わせたんですか」
「鳩」
「嘘付かないで下さい! 何ですか? まさか、月生物?」
「ピンポーン」
「うわぁ! それ、禁止されてるヤツじゃないですか!」
「バレなきゃ大丈夫」
「こんなこと政府に知られたら……」
「何のためにボクがこの地位にまで登り詰めたと思ってるんだい」
「この為、ですか」
「その通り」
ボクは誇らしげに胸を張り、山崎はガックリと肩を落とした。




