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ケージの中を観察しているとエレベーターの扉が開いた。
振り返ると、淡い金色の髪を後ろに撫で付けた眼鏡の男がエレベーターから下りて来るところだった。
「山崎博士」
突然の来訪者はボクを無視して後ろの助手に声を掛けた。
「やあ、フィディック博士。どうしました」
山崎が僅かに動揺したように愛用の黒ぶち眼鏡を押し上げる。
同じ眼鏡同士でもこんなにも印象が違うもんだなと吹き出しそうになった。
「お時間があれば少し話でもと思いましてね」
「ああ、ええ……勿論、良いですよ。何ですか」
山崎の返事を待って、ようやくここでフィディックがボクに顔を向けた。
「響主任。山崎博士を少しの間、お借りしても?」
「ん……あー、まあ良いけど」
どうせ合成獣の様子をじっくり観察したかったし、山崎もここでやることはやったみたいだから、今日の残りは何しようが構わないんだけど。
それにしてもボクを差し置いて山崎に話って?
二人の背中を見送る。
「あの兄弟は何か苦手だな」
本部の連中は何を考えてるのか今イチ分からない。足を引っ張りあってる場合じゃないとは思うんだけどね。
さて、月からの侵略者は人類と共存出来るのか。見物だな。
ボクはケージの中で静かに鼓動する合成獣を愛おしく眺めた。




