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エレベーターを下り、愛しい我が合成獣が居る収容ケージへと向かう。実験室では先に来て作業していた山崎が、やって来たボクに気付いて顔を上げた。
「あれ?」
ケージ内を見て思わず声が漏れた。
「主任、どうかしましたか」
山崎ご作業の手を止めて声を掛けてくる。
ボクは観察の目を休めずに答えた。
「何だか様子がおかしくないかな」
「今朝はまだ起きてこないのですが」
合成獣がケージの中で丸く成り、後ろ足を抱える様にして前足が床に根を張っていた。
「あれは何だろう」
ボクが指を差すと山崎はケージを覗き込み、少しびっくりしたように眼鏡の奥で眼をしばたたかせた。
「……菌糸の様に見えますね」
「いつからこの状態に?」
「いえ、私が来た時にはあの様なものはありませんでした」
「生命反応は?」
コンソールをタップしてケージ内の環境データをモニタリングする。ここ数日のバイオリズムをチェックし、ケージの隅で踞る合成獣にサーモグラフィを掛けた。
「脈はあるね。多少、体温が上昇しているけど問題は無さそうだ」
「変態するんですかね」
「だとすると、繭でも作っているのかも知れないな」
さて、月生物の遺伝子がどの程度作用するのか見物だな。
ボクはニューロンの検査を諦め、暫くは観察に専念する事に決めた。




