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Eureka  作者: MOJO
10/24

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 空が凪いでいる。どんよりと黄色く。

 風が在る日は黄色い粒子がさざ波のように、ときおり青空がその波の隙間から覗くのだが。今日は何時もより胞子量が多いようだ。

 研究所から市街地までリニアバイクで三十分。中心街まで更に数十分。

 今日は山崎チョイスの店。どうせ所長の奢りだし、タダで食えるなら何だろうが文句はない。

 満月の夜が過ぎた翌日からは徐々に晴れ間が覗くのを知ってか、平日の昼間なのに高級料理店にも関わらず一般客がそこそこいた。

「悪くないね、この肉」

 山崎の頼んだものに遅れてようやく来たステーキにボクは噛りついて言った。 ワザワザ言うほどに、まったく悪くはない。

「そりゃ、高級店ですから一応。値段相応の材料使ってますよ」

 山崎は自分が頼んだ串揚げを頬張りながら答えた。

「そりゃなんだい」

「これですか? チーズハトッグですよ。いま若者の間で人気なんです」

 何でも変異牛(ミノタウロス)の乳で作った発酵製品に衣をつけて油で揚げたものらしい。

「どこら辺が人気なんだ?」

「鳩のエキスが入ってるって話です。まあ、眉唾でしょうがね」

「ふふん」

「最近は何でもかんでも鳩、鳩、鳩です。こないだの件以来」

 ロシアからのニュースが世間を騒がせていた。卵が堕ちて、鳩が孵ったのだ。それも大量に。

「そういや、世紀末(メシア)教の奴らも騒いでたな」

「地上生物が絶えてから、二世紀以上経ってますからね。神の奇跡だとかでお祭り騒ぎですよ」

「アレの本当の姿を知らないで暢気なもんだよ」

「そうかも知れませんね……ですが、普通の人間は何かにすがらないと生きていけないものですから」

「ふーん。そんなもんかね」

「それより、どうです、その肉」

「ん? さっきも言ったけど美味いよ」

 何だ。何が言いたい。

 ……あ。

「もしかしてコレ、お前が創ったやつか」

「ええ」

 出来の悪い生徒がようやく答えに辿り着いたというように、ニヤリと嗤う山崎。

「牛と豚のDNAを掛けて大豆を元に培養しました。納得いくものが出来るまで苦労しましたが、こうしてお店も繁盛してる様ですし、主任にも満足して頂けてるようで努力が報われたようですね」

「……まあ、この店のソースが美味いってこともあるしな」

「ええ。上手く肉の旨味を引き立ててます」

 こいつ。

 ムカついたので残りのステーキを一気に頬張った。むせ返りそうなのを無理やり水で流し込む。

 味への感想はもう言うまい。



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