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鶏頭水煮


 コンビニでミミィから勧められた鶏頭水煮という缶詰には、文字通り水煮のニワトリの頭部のみが入っていた。


 あまりにも謎過ぎる缶詰だ。


「ちょっと質問だけど、これは食べ物でいいんだよな?」


 恐る恐るルイに質問した。


 ちなみにミミィは最後の1つをパリポリと齧りつつ、次の缶に熱い視線が注いでいる。


 ルイは手を出していない――彼女に対するお見舞いの品物なんだけど、本当は。


「犬は夢中になる食べ物らしいね」


「そうするとドックフードの一種になるのか? でも、わんこのおやつと値段が違い過ぎるじゃないか」


「実習でも使うから。生物の授業を取ったらコンペもバラすことになるわよ」


 動物の解剖実習があるらしい。


 まさか高校生の授業で人間の頭部を使うわけにはいかないし、コスト的に安いものということになると一般的にドックフードとして流通している鶏の頭部になるということだった。


 戦艦島には水田なんか存在しないからカエルの解剖というわけにもいかないし。


 そういう理由で普通のペット用品は贅沢品ということで非常に高額だが、唯一鶏頭水煮だけが学習器材という扱いで安く売られている。


「おいしいものはイコール高いものではないんだから。それに、お金を稼ぐのはいいんだけれど、だからといってミミィが危なくなっては絶対駄目。そもそもミミィを名指して買い取りたいなんて話が出たということは、悪い意味で目立ったということ。それでマダラには悪いけど、たまたま亡くなったから身代わりになってもらったのに、その翌日にまた悪目立ちして生徒会に注目を浴びるって、馬鹿なの? 阿呆なの? 間抜けなの?」


「ああ……バカでアホでマヌケだったな」


「ダディーはばかでもあほでもまぬけでもないもん」


 ミミィが2人の間に割り込んで、ルイに抱きついてきた。


 喧嘩したら駄目なんだから! と。


 ルイはもちろん僕も反省します、という感じになる。


 怒ったのはルイだけど、どう考えても僕が悪いのだし。


 気まづい。


「いちおう狩り禁止ということにしたんだよ。だけど、手配されているのに、のんきに散歩しているバカがいて、ついうっかり反射的に捕まえてしまったんだよ。もう少しキツく禁止とミミィに言っておけばよかったのかもしれないけど……」


「まあ、そもそもは昨日大失敗して入院しているジブンこそ馬鹿で阿呆で間抜けかもね」


 お互いに反省。


「みんなでたべよう」


 ミミィの仲直りの方法はおいしいものを一緒に食べることだった。


 一杯のラーメンを3人でわけて食べる。


 中身を食べた鶏頭水煮の缶に残った煮汁を使ってチキンラーメンを煮ると超チキンラーメンというべきチキン味が増量されていた、とても素晴らしいチキンラーメンが出来上がる、というのがミミィの説だった。


 本当か、ソレ?


 うさんくさい通販でよくある、個人の感想です、を思い出す。


 食べられるか、食べられないかの二択なら、食べて食べられなくはない。


 もちろん、推奨されることではないが、犬用とはいえ生き物の食糧として製造されたものだから、それなり衛生面も考慮されているはずだ。


 チキンラーメンを煮るときに煮沸消毒することになるのだから、最低限の殺菌はできているはず。


 しかし、なぁ……あの鶏の頭を思い出すと食欲半減。


 実際のところ味も……コレ、美味しいのか?


 ミミィは喜んでいるからいいけど、3人で美味しい食事をしたというより、なにか怪しげな儀式をした感じだ。


 いまなら悪魔とか呼び出せそう。






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