表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/60

今回の作戦は?



 本人すら知らないうちにルイがこのコロニー内で幅を利かせているらしいチョイ悪い連中を叩きのめしたことになっていた。


 しかも、ゲンコツで一発みたいな爽快な方法ではなく、相手の人格が崩壊するような拷問まがいなことをしたとか、なんとか。


 そんなくだらない噂話の真偽を本人に確かめている間に、3人の間でどういう話があったのか知らないが、ふと見ると並んで土下座してる。


「申し訳ありませんでした」


「ジブンとジブンの眷属に手を出す奴は楽に死ねるなんて期待しないほうがいい」


 土下座3人組の前で仁王立ちして言い渡すルイ。


 いや、だから、そういうことをするから……いろいろ誤解されててかわいそうな女の子だと同情する反面、自業自得だとも思う。


 これを目撃した人がいたなら(確実にコンビニの店員や客は見てるし、防犯カメラの画像も残る)悪そうな3人組を叩き潰したという噂を広げるだろう。


 誰だって噂話くらいはするし、普通じゃないものを目撃したら、他人に話したい気持ちになる。


 基本的に戦艦島の通信インフラは八島グループのものだけど、だからといって裏掲示板みたいなものが存在しないわけではないんだし。


 そもそもネットがなくたって人間が2人以上いたら噂話くらいはするものだ。


「早く消えなさい」


 ルイの言葉が終わらないうちに端役は消えた。


 そして、改めて僕に説明を求める。


 手配犯を追跡していたら、どうやら仲間と一緒に移動中のようで、しかも、その仲間というのが僕たちが最初に出会ったZ地区での相手だった6人の機械化強化体の1人で――という現在に至る経緯を話した。


「いろいろ言いたいことはあるけど、まずは仕事の時間ね。さっさと2人とも捕まえるわよ」


「かりだ! かりだ! ほら、ちゃんとマミーはミミィのところにきたよ」


「そうそう、どうやってここの場所がわかったんだ?」


 ミミィは単純に狩りができると喜んでいるが、僕はやっと訊きたかったことを質問した。


「GPS機能がついてないスマホなんて存在するの?」


 逆に質問されてしまった。


 まあ、いまどきGPSのついてない通信端末なんて存在しないよな。


 クラシックな通信端末のコレクターがいたとしても、いまそれを実用に使うわけにもいかないしね。


 通信システムの世代が1つや2つ前なら対応しているかもしれないけど、例えばポケットベルとかショルダーフォンは歴史の遺物でしかない。


 しかし、ルイがミミィのスマホのGPS情報を得ているのなら、僕もそうしようかな?


 ルイは手配犯が交差点の近くで張り込んでいると聞くと、すぐにミミィを突っ込ませた。


 ミミィはミサイルのように飛び出して、手配犯が足音に気づいて振り返ろうとするところを押し倒した。


「なんだ、こいつ!」


 暴れようとするが、ミミィはカプッと喉を咥えるだけで動きを封じる。


 物理的には動けるはずだが、鋭い牙が首に喰い込んで平気でいられるわけがない。


「生死にかかわらず、ということで指名手配されてるのは知ってるよな? 自分のことなんだし。だから、面倒をかけるなら死体にする」


 もちろん、ミミィに殺人を命じる気はないが、僕はちょっと脅した。


 しかし、そんなことをする必要はなかった。


 喉に犬歯を突きたてられて指先すらピクリと動かさずに固まっている。


 サングラスとマスクを剥ぎ取ると手配犯の菅原博だとわかった。


 手錠のかわりに持ち歩いている太い結束バンドで両手を縛る。


「問題は機械化改造体だな。こいつとは比較にならないほど強いし、あそこには仲間がいるかもしれないから、1人だけとは限らない」


 僕は手配犯が見張っていた建物を睨む。


 住居や事務所というより、どうも倉庫のように見える。


 出入り口はシャッターで、その横に通用口。


 窓は小さなものが2つばかり見えているが、背の高い建物なのに窓の数が極端に少ない。


 それは進入できる経路が限定されるということも意味する。


「ルイ、どうする?」


「まあ、コンペが正面から突撃している間に、ジブンが裏から、ミミィは……屋根に登れそう?」


「できるよ」


「それなら天井に穴を開けて上から奇襲かな」


「僕とルイは万能キーがあるが、天井はどうやって穴を開ける? さすがにミミィでも素手では難しいだろう?」


 飼育委員会の支給品として僕はルイから万能キーをもらっていた。


 こんな街中の倉庫ならセキュリティーレベルはクラスDか、せいぜいクラスCだから問題ないはず。


 しかし、天井に鍵のかかった扉があるはずもないから万能キーでなんとかできるわけもない。


 どうするのかな、と思っていたら、ルイはキューマルに積んであった手榴弾をミミィに手渡す。


「これで」


「いち、にい、さん、よん、ご、どかん?」


「そう。5秒でドカン!」


 頷いてルイは左手を突き出す。


 その手首に巻かれていたのはカシオのデジタル時計。


 時間は20時48分32秒。


「この時計に合わせる……20秒前……10秒……5、4、3、2、1、いま!」


 僕の時計は10秒進んでいるようだ。


 ルイは話しを続ける。


「だいたい5分で準備するとして攻撃開始時刻ゼロアワーは55分ジャスト。その時間にジブンとコンペは万能キーで建物内に突入。同時刻ミミィが手榴弾のピンを抜いて退避。5秒後、天井で爆発。爆風が抜けた穴からミミィも突入」


 この計画タクティカルプランでいい?、とルイに尋ねられるが、他にいい作戦があるわけじゃないし、素直に頷いておく。


 時間的にタイトだが、僕たちなら問題なくできるはずだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ