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小遣いになりそうなヤツラ


 おはようございます。

 今日も更新します。




 ミミィと一緒に飼育小屋にいった。


 昨日の訓練中にルイから見せてもらって、手配書の保管場所も聞いていた。


 古いものまで全部を暗記しても無駄になるだろうが、新しいものは覚えたほうがいいと言われてもいる。


 意訳すれば「すぐに記憶できない低能なら暇なときに自主的に手配書を見て覚えろ」というところだろう――僕の記憶力はルイを上まわる能力なんだけど。


 容量が足りなくなったら新しいクラウドを用意するだけだし。


 古いものも、新しいものも関係なく、あるものは全部記憶しておく。途中でポンコツ脳にノイズが走ったりするけど、いつものように無視だ。


「しかし、ミミィは飼育小屋に住んでるのに、こういうの見ないのか?」


 書棚から手配書のファイルを取り出しながら尋ねるが、ミミィは不思議そうに首を傾げるだけだった。


 しかたないので目の前に手配書を広げる。


「こういうの、マミーが見せてくれたことないか?」


「ない」


「ないのか」


「あったかもしれないけど、わすれたー」


「忘れたか。まあ、いいや。今度は覚えよう。で、捕まえよう。例えばこいつだ」


 最近のもので、資料に体臭が含まれているものを選んだ。


 別にミミィは警察犬の訓練を受けているわけではないだろうが、臭跡で僕のアパートをつきとめたのだから、同じように手配犯を追うこともできるはず。






 戦艦島で使っていた身分証によると名前は『菅原博』で年齢は34歳――どうせ偽造の身分証なのだろうが、八島リサイクルに掃除夫として雇われ、八島重工先進技術研究センターのゴミを持ち出そうとしているところを目撃され、即座に逃走して今日で3日目ということだった。


 賞金30万円。






 その次が『長野吉弘』年齢17歳――自称だが。いま通っている高校の先輩ということになるが、生徒会室に不法侵入してようとして警報器に引っかかり、それ以後行方不明。


 賞金10万円。






 同じく自称『広崎孝義』18歳は生徒の暴行容疑がかかっている。なんとも物騒な話だ。いじめとか、そんな話で指名手配かよ! いや、いじめはよくない。しかし、指名手配をかけるほどか?


 賞金20万円。






「とりあえず、この3人からにしようか。においを覚えられそう?」


「おぼえる……かぁ?」


「覚えて捕まえたら肉いっぱい」


「にくいっぱい?」


「そうそう。いっぱい、いっぱい、肉祭!」


「まつりか?」


「祭りだ!」


「にくのおまつりか?」


「肉のお祭りだ!」


「ダディーすごいな」


「ミミィもすごいところを見せてみろ。たったの3人分だ、すぐに覚えろ」


「さんにんなんて、すぐだ。ダディーみてろ」


 手配書には臭痕見本トレイルサンプルという指3本ほどの小さな機械が添付されていた。


 それを鼻の下にあててボタンを押すと手配犯の体臭を分析したものと同じ成分比率のにおいがする。


 ミミィは3人分を嗅ぐと、すぐに覚えたと言う。


 本当かな? と疑う気持ちがないわけではないが、何事でも一度で完全に成功しなければならないわけではない。


 それに、たった3人と煽るような言葉を使ったが、1人でも身柄を確保できれば充分だ――わんこのおやつは二度と買う気はないし、安い冷凍肉を売ってるスーパーも探したのだから。


 明日は土曜日で授業は休みだ。


 訓練のほうはルイ次第だが、まさか早朝から深夜までかかるわけではないだろう。


「訓練の後がいいな。明日の夜は狩り時間だ、それでいいか?」


「あしたのよるはかり。わかった」


 嬉しそうに抱きついてくる。


 身長がミミィのほうが20センチは高いし、力も強いから、根性でガッチリ受け止める。


 しかし、やる気と結果は必ずしもリンクするわけではないから、実は少し――いや、かなり心配していたが。





 結論から言おう。


 ミミィは狩猟の天才だった。





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