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やたらとヘイトを稼ぐ父

おはようございます。

今日も更新します。



 僕がこの戦艦島にきた目的は行方不明になっている父親を探すこと。


 その行方不明になっている原因がよくわからないし、こんななんでもありの戦艦島で行方不明になるようなことといったら、かなりヤバい理由だと想像がついたから、本名ではなく、偽造の戸籍を用意したのだ。


 息子だと知られたら逮捕とか、誘拐とか、殺害とか、いろいろ厄介な事態になりそうで。


 なにもなければ、ないでいいとして、用心をして悪いはずがない。


 まあ、すぐにバレたけど、お小遣いをためたり、お年玉を貯金したり、結構大変だったのだ。そうやって僕が苦労しているというのに、父親ときたら素敵に愉快な実験を繰り返し、マッドサイエンシストぶりを遺憾なく発揮していたようだ。


 父親を探すのは肉親としての情愛から探しているというより、もっと実利的な部分もあるのだが、それに加えて苦情も並べなければならないようだ。


 そういえば『いつか殺すリスト』のトップに何年も君臨しているから、そろそろ実行すべきときがきたのかもしれない。


「それで僕の父親はいまどこでなにをやってるか噂程度でも聞いてないか? 探してるんだけど、連絡が取れなくて」


「まだこの島のどこかで怪しげな実験をやっているという話は耳にしないこともないかな。ただし、それが具体的にどこかはジブンは知らない」


 ルイの答えは否定的なものだった。


 まあ、父親を探しにきて最初に会った人物に話を聞いただけで場所が特定できるのなら、わざわざ僕が八島高校に進学してまで戦艦島に潜入する必要はなかったのだが。


 どういう事情があったのか僕は知らないけど、行方不明になったのも、どうやら変な状況でのことらしい。


 父親が行方不明ということを僕は自宅をかきまわしにきた男から聞いた。


 弁護士という名刺を持ったヤクザな奴が突然やってきて、チンピラにしか見えない手下とともに土足で室内にあがり込み、父親の部屋にあったものを持てるだけ持ち出したのだ。


 僕にもかなり高圧的に連絡がなかったか尋てくるし、もし今後連絡があったら名刺の弁護士事務所まで知らせるように命じた。


 うっかり連絡するのを忘れたら、痛かったり、危なかったり、怖いことになる、というような内容を、かなりマイルドな表現であるものの、勘違いする余地がないような言葉で伝えられたのだ。




 殺されかけたりもしたけれど、私はげんきです!




「いま見せてもらった戦闘力からすると、昨夜はミミィも連れてきたら負傷してロッカーに隠れる必要もなく、割と簡単に敵を制圧できたんじゃない?」


「昨夜の作戦は生徒会主導で他の委員会も参加していたのよ。さっきも言ったようにミミィのことは秘密。員数外とか廃棄物って呼ぶんだけど、使えない失敗作の遺伝子強化体だからジブンの自由にできる。だけど、ミミィがこんなに戦えると八島グループが知ったら、どこかの独裁者に売り飛ばすとか、なにかつまらない実験に使い潰すか」


「そんな……」


「幼い、能力が低いうちに失敗作と判断され、せっかく員数外になったんだから、元の生物兵器に逆戻りしないように、いまの飼育委員会に所属という立場を守らないと」


 まったく役立たずだと、それはそれで処分の対象になりかねないので、戦争には使えないが、防諜活動の補助レベルの仕事ならなんとかこなせる、というラインを守らなければならない、というのがルイの考えだった。


 それで本当に安全かどうか僕には判断がつかないが、有能すぎたり、無能すぎるよりはいいのだろう。


「わかった、僕もできる限りの協力をする」


「少し、あてにする」


 どこまで本気で言っているのかわからないが、割とルイは真剣な顔と声で答えた。


 それより、とミミィが玄関先に放置されたアタッシェケース(ハリバートン)を指差した。


 もともとは中古品クラスだったのかもしれないが、現在は爆発に巻き込まれてゴミ同然になっている。


「あれ、においする」


 ノートパソコンを入れるのにちょうどいいサイズだが、持ち上げてみると中になにか入っているらしい重さがある。


 この中の情報を解析すれば、残りの連中も捕縛できるんじゃない?


 鍵はかかっていないようなので、開けてみた。




 手が入っていた。





 意味がわからない。


 なんでアタッシェケースに手?


 しかも、すごく不気味なんだ。


 気持ち悪すぎて、うっかりアルミ製のケースを落としてしまう。


 その瞬間、ミミィが飛びついて、その手のようなものをパクリと口に放り込む――食べた!




 あの不気味な手を食べた。




 あまりのことに呆然としてしまう。


 手と表現したが、どう見て人間のものではなかった。


 20センチ近くありそうな長くて太い指は3本しかなく、鉤爪のようなものが長く伸びていて、巨大な鳥の手のようだった。


 皮膚は硬い鱗のようなもので覆われていて、超でっかいトカゲの足なのかもしれない。


 どっかの研究所で作られた、とんでもない失敗作なんじゃないの、コレ?


「ミミィ、ぺっ、ぺっしなさい」


 慌ててルイがミミィの口からはみだしている手首をつかんで引っぱるが、もぐもぐと口が動くたびに吸い込まれるようになくなっていく。


「ぺっ、ぺっするの」


 しかし、ミミィは不気味な手を完食。


「コンペ、あんまり変なものをミミィに与えないで」


 ルイに怒られてしまった。


 八つ当たりだろ、コレ。


「いや、与えたわけじゃないけど」


「目の前に食べられそうなものがあると――いい? 食べ物ではなく、食べられそうに見えるだけ、それもミミィの視点で。これは食べられるかもしれない、というものをミミィの目の前に置いてはいけない。なにも考えずに口に入れしまうから」


 どうやらミミィはかなりの食いしん坊キャラらしい。


 そして、とりあえずモグモグしてしまう、と。


 まあ、さっき僕もモグモグされかけたんだけどな!





 お読みいただきありがとうございます!

 

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