プロローグ
失踪申し訳ありませんでした。
令和おめでとう。
娯楽に生きてきたのかもしれない。
イケメンでも優しくもない俺はストーカーにあったせいで学校を転校することを余儀なくされたわけなんだが、問題はここからだった。
そのストーカー相手が今度はこっちに転校してきたのだ。
「やぁ。凍琉くん。久しぶりだね。」
そう言って奴はポーチから拳銃を引き抜いた。
目の前で砲炎が煌めく。
避けるつもりも避けないつもりもなかった。突然のことすぎて何が起きたかもわからない状態だから。
弾丸は眉間を通って両方の眼球の側面を少し抉って頭蓋骨に当たった。回転と進撃を繰り返す弾丸はゴリッと音を立てて骨を砕き通す。脳みそをぐちゃぐちゃにかき回して弾道を少し歪ませたまま頭蓋骨のだいたい反対側で出口を求めるように再び弾丸は炸裂する。後方では突き破ってでてきた弾丸と、砕かれた骨、かき回された脳みそと溢れ出る血と脳漿。ベチャベチャと音を立てて床に落ちてはカラリと乾いた金属音が聞こえてくる。
時が逆流したように砕かれた骨、かき回された脳みそと溢れ出る血と脳漿が生み出される。皮膚が蓋をして俺は弾丸を食らう以前の状態に戻る。
「『狂愛』の罪。明日持結寿。」
奴は笑った。
俺は泣いていた。
弾丸くらって生きているなんて誰でも泣くだろう。