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2.ついていけなかった

「寒っ」


きらきらと光る氷に驚きとその綺麗さで興奮していられたのも数分だけで氷に囲まれた中にいればわかりきっている寒さというものが発生する。堪らず腕をこするが解決するはずもなく。


「ちょっと真面目にピンチかも」


夏服にくわえて、ついさっきまで噴水の中にいたのだ。縁まで移動していたから氷漬けにならなかっただけマシなのかもしれない。直ぐに寒くて歯がカタカタとなり始めた時。


「えっ?! イダッ」


爆発音と共に氷が砕け、地味に破片が当たり腕で目をかばえば、強い力に腕を掴まれ思わずビックリして顔をあげたら。


ゴッ


ズツキがきた。どうしたか?

勿論キレた。


「なんなのよ! 石頭のあんた誰よ?!」

「俺か? リード・サン・バドワーだ。お前は?」

「え? 私?」


ズキズキする頭を押さえながら、見上げれば、もの凄いイケメンがいた。しかもワイルドそうなお兄さんが至近距離に。


「アンタしかいねーだろ」


しかもすこぶる機嫌が悪いようだ。あまりのインパクトに真面目に返してしまった。


「あっ、沢村さわむら 夏です」

「なんか、変わってんな。サワムラ…お前は周りで何と呼ばれている?」


普通っぽいと思うけど。


「友達にはそのまま、なつって呼ばれたりしますけどって。 握手?」

「違う」


ワイルドイケメンがなにやら手袋を外し手を差し出してきて私と同じまではいかないまでも、しゃがんで視線を合わせてきて。


「なぁ、平和だが退屈な神殿で一生とじ込もって暮らすか、自由が保証される場所。どっちを選ぶ?」


何それとワイルドイケメンに文句を言おうとしたけど、軽そうな口調のわりに、表情は真剣で。


「……自由が保証される場所」


真面目に答えちゃったよ。

しかも続きがあって。


「なぁ、アンタは俺の顔嫌か?」

「は?」


真っ直ぐにみてくる青い目は本気だ。


ゴツいけど俳優さんみたいに整っている顔が更に近づいてきて、焦りあとずさりをするもすぐに氷の壁に背中があたる。


「ちょっ待って下さい!」

「ハッキリ言え」


首の後ろに手が回されこれ以上逃げ場はなくなって。


「いや、ワイルドイケメンです! カッコいいですよ! 次元違うドストライク!」


混乱してわけがわからない言葉に! 真っ赤になっているであろうほてった顔も腕を掴まれて隠せない。


「わかった」


何がわかったの? 自分がイケメンだって事?


いるよね自画自賛の人。でも確かにこの人、好き嫌いでるだろうけど見た目良いわ。


「って熱っ!」

「悪い、もう終わりだ」


右手の手のひらを上に向かされ強く握られたとたん熱をもったように手が熱くて。でもすぐに消えほっとしたのもつかの間、手のひらになにやら模様が。


「これ、何ですか?」

「あ? 婚姻の印だが」


──え?


「えっと、すみません。大変申し訳ございませんが、今、なんと」


私を無理矢理、でもとてもスマートに立たせてくれたワイルドイケメンは、歯磨きのCMに登場しそうなくらいの白い歯をみせ笑顔で言い放った。


「今からお前は、俺の女だ」



──私の思考は完全に停止した。



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