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僕らは痛みと共にある  作者: 藍ねず
最終章 乱れた常磐の歯車編
190/194

正義

正しくありたいだけだった。

――――――――――

2020/05/01 改稿

 

 

 私の手はいつも大切なものを掴めない。


 私の足はいつも一歩足りていない。


 私の声はいつも相手に届かない。


 そんないつもが嫌いで、そんな自分が嫌いで、そんな弱さが嫌いなのに。


 私はまた掴めない、足りていない、届かない。


 伸ばした手が早蕨さんを下がらせたくて、盾になってほしくなくて、犠牲なんてふざけるなと叫びたいのに。


 私は、私は、私はッ


「俺がいるッ、使え、氷雨!!」


 りず君がスクトゥムの形を崩して早蕨さんを掴んでくれる。


 光輪が当たる数㎜前。サンダルフォンさんが早蕨さんの骨を砕く数秒前。


 私の手首に巻き付いてくれたりず君を渾身の力で引く。


 早蕨さんの体は勢いよく後ろに倒れ、私は前に足を踏み出した。


 膝を曲げて光輪を躱す。早蕨さんが地面を滑ろうがなんだろうが、ストラスさんの結界を破壊する威力を持つこれを躱すのが先決なのだ。


 頭上を光輪が通過する。その間にりず君がハルバードに変わってくれて、私はサンダルフォンさんを見た。


 早蕨さんが殺されても良いと言うならば、彼を殺そうとする相手を私が止める。


 そう思って地面を蹴ったのに後ろから勢いよく肩を掴まれ、鉱石の地面に前面から倒されてしまった。


 ひぃちゃんが驚いて、りず君を投げ出しそうになるのを必死に止める。心臓が凍り付き、緋色の翼が藻掻く音がした。顔を何とか後ろに向けた私の頭に血が上る。


「早蕨さんッ、退けて!」


「氷雨さん、逃げてよッ!」


 声が揃う。


 お互いが、お互いに、お互いを。


 早蕨さんの目は丸くなって、私は頭が熱いまま叫んでいた。


「逃げるか馬鹿!!」


 (ひじ)で思い切り早蕨さんの側頭部を殴ってしまう。彼がよろけた隙に私は立ち上がった。


 肩が痛んだし胸も痛んだが、貴方みたいな正しい馬鹿には謝らないからなッ


 サンダルフォンさんを見る。彼もこちらを見つめており、またランプが揺れた。


 逃げない、逃げるな、逃げたらお前はまた死なせる。


 ルアス軍もディアス軍も関係なくなった今、誰も死なせたくない。失いたくない。後悔なんて――沢山してきただろ。


 だから前だけに進め、氷雨ッ


 地面を蹴ればひぃちゃんが勢いよく羽ばたいてくれる。


 正面からでは勝機が薄い。だからちゃんと考えろ。


 サンダルフォンさんとの距離がハルバード圏内になった時、光輪が出てくる。私の体は直ぐに上昇し、長の頭上を超えて塔の壁に足を着いた。


 落とせ、刃を。


 一点集中。


 ランプを持つあの腕を穿(うが)て。


 ハルバードを握り締め、足りない腕力は落下の勢いで補おうと考える。首で揺れた小瓶を視界に入れ、壁を蹴って、重力のままに。


「戦い続けて来たのでしょう。もう、休みなさい」


 サンダルフォンさんの声と一緒に、ランプを持っていない彼の手がこちらを向く。


 掌、光弾、やば、


 脳裏に林と泉が浮かぶ。メタトロンさんに掴み投げられたあの日の光景が、呪いが浮かんで――


 アミーさん


 ハルバードを振り下ろす手は止められず、サンダルフォンさんは体を引いて避ける体勢に入っている。


 目の前が白く染まる。


 あぁ、顔、潰れる。


「こ、のッ!!」


 不意に視界に色が戻る。


 見ればサンダルフォンさんの背中に蹴りを入れている早蕨さんがいて、私の体は少しだけ動いた。


 ひぃちゃんが体の軸を動かして、りず君がカエトラになる。私は咄嗟とっさにりず君を顔の横に構えていた。


 それとほぼ同時。


 光弾は盾を掠めて壁に撃ち込まれ、私は地面を転がったのだ。


 肺が広がり縮まって、また広がる。


 額から流れ出てくる汗は緊張と焦りからだろう。震えた手で握るりず君はハルバードに戻ってくれて、作られた口が叫んでいた。


「無事か氷雨!!」


「大、丈夫……ッ」


 たぶん直撃を受けてたら死んでたとは、思っても口にしない。


 それは自分を縛る鎖になる。過度な恐怖は自分を弱くするだけだ。


 だから立て。どうすればこの状況を壊せる。どうすれば現状を変えられる。


 私は顔を上げた先でサンダルフォンさんと早蕨さんを見て、心臓が痛む感覚を抱いたのだ。


「俺だけでは駄目ですか」


 聞いている戦士がいる。


「貴方だけでは満足しないと言った筈ですよ」


 否定する長がいる。


 早蕨さんはサンダルフォンさんと私の間に立つ場所を変えて、続けていた。


「お願い、逃げて氷雨さん……お願いだからッ」


 あぁ、そんなことが出来るかッ


 私は首を引っ掻いてしまい、痛んだ喉で叫ぶのだ。


「そんな条件なら、競争を続けた方がマシだッ!!」


 早蕨さんが驚愕の表情でこちらを見る。


 私は肩で息をして、滲んだ視界を雑に拭った。


 もういい、もういい、もういいよ。


 出した言葉は戻らない。吐いた意見は取り消せない。


 それでいい。こんな終わりがあるのなら、元の競走の枠に戻ってやる。


 ディアス軍とルアス軍。生贄を集めて殺す戦士と、生贄を救う戦士。先に生贄を六人集めるか、先に祭壇を全て壊すか。


 優しくないルールでいい。兄さんを殺すし、時沼さんも、早蕨さんも殺して、私は仲間と共に生きる。


「何言ってるんだッ!!」


 酷い剣幕で怒鳴る早蕨さん。近づいて来た彼は私の肩を勢いよく掴み、目元を赤くして感情を露わにした。


「折角競争が終わるんだよ!? それなのになんで、もっと沢山の人が死ぬ道を選ぼうとするんだ!!」


 うるさい、この分からず屋ッ


 私は早蕨さんの胸ぐらを掴んで言葉を返す。


「こんな結末で生きた先には絶望しかないだろうが!!」


 誰かを殺した。知らないうちに。知らせないうちに。仲間を殺してハッピーエンド?


 そんな未来、誰も望まない。


 望まない未来など壊してしまえ。


 そんな筋書き、誰が許すと思うんだ。


 早蕨さんの顔が赤くなっていく。理解が出来ないと言う目だ。そしてきっと私も同じ目をしているのだろう。


 誰も死なない理想を描いた。


 仲間を生かす夢を持った。


 それが私達二人の命を代償にするのなら、貴方は喜んで受け入れる。自分だけでも足りるだろ、だから貴方は逃げてだなんて笑いながら。


 それを知って生きられる奴がどこにいる。


 逃げる奴がどこにいるッ


「これはチャンスじゃないか! 折角みんな生きられるのにッ、俺が残って君は逃げて! 氷雨さんは自分を守って! そうすれば生きられるのに!!」


 貴方のそれはやっぱり理想。サンダルフォンさんは私を逃がす気なんてない。貴方だけで済ませる筈がない。


 それでも、もしも貴方だけで全てが終わったとして、それを私はどう伝えるのだ。


「なら貴方が死んだ後言うのか!! 早蕨さんのお陰で鉱石が出来ましたって!! だから私達は生きられるんですって!! それを伝えて、貴方の仲間は喜ぶのかよッ」


 喜ぶわけないのに。きっと泣く。そして怒る。早蕨さんに怒るし、自分にだって怒って許せなくなる。許せなくて後悔して、泣いて、泣いて、泣いてッ


「伝えなくていい、俺の事なんて伝えなくていいッ」


 早蕨さんの腕が震える。


 振り返った彼は、サンダルフォンさんに言っていた。


「俺が死んだら、戦士の人達からも俺の記憶を消してください」


 あ、


「そうすれば、誰も悲しまなくて終わったことになるでしょう?」


 私のこめかみで何かが切れた音がする。


 気づけば私は早蕨さんを殴り倒して馬乗りになり、彼の後頭部を地面に叩きつけたのだ。


「いッ……!」


「ふざけるのも大概にしろよ、分からず屋」


 肩が戦慄(わなな)き、息が切れる。


「今まで一緒に進んで来た鷹矢さんを、恋草さんを、淡雪さんを、何だと思ってる!!」


 腕が震えて、とうとう目の縁から水が溢れてしまう。


 どこまでもふざけたこの人が、私はやっぱり理解が出来ない。


 なんで、なんで置いて行こうとする。


 置いて行かれた痛みを考えろ。


 その痛みを忘れてしまうだなんて、どんな罰だふざけんな。


 貴方の正しさを、努力を、生き様を、ッ


「忘れられてもいいだなんて言うなよッ!!」


 叫んで涙が落ちる。それは早蕨さんの頬を流れていく。


 悔しい、悔しい、悔しいッ


 悔しくて悔しくて――堪らない。


 きっとこの現状が何かの冒険譚ならば、早蕨さんは立派で壮大な英雄で、尊い犠牲を払った勇者になる。それを止める私は愚者で、何故彼の心を汲まないのかとののしられるだろう。


 それでいい、私は悪でいい。


 簡単に決めてないって分かる。分かるけど、だからこそ止めたいと思うから声を荒らげてしまうのだ。


「努力した人が報われないだなんて、頑張った人が褒められないなんて沢山だ。そんなの嫌いだ……大っ嫌いだ」


 涙が溢れて止まらない。


 止まらないから、声も震えて息も上がる。


「それなら私は、貴方の敵に戻りたい。正々堂々正面から、貴方の敵としてまた……この空を、飛んでいたい」


 早蕨さんも、兄さんも、みんな、みんな、敵でいい。


 私が殺す。殺して仲間と生きてやる。


 誰のことも忘れたりしない。


 腕に抱えて、泣いて、痛んで、背負って、進むんだ。


 だから、頼むから、その痛みを背負わせないだなんて言わないで。


 無くしてしまうなんて、最低で、最悪だから。


「仲間と私の為ならば、私は貴方の悪でいい。貴方の――敵でいい」


「……なんで君は、いつもそうッ」


 一瞬だけ緩んだ私の手から早蕨さんは抜け出して、今度は私の後頭部が地面に激突する。呻いた痛みと押さえつけられた肩。ひぃちゃんを下敷きにしてしまった。ごめん、ごめん、ごめんッ


 私の上にいる早蕨さんの向こうでは、力が抜けるほど青い空が広がっていた。


「なんで分かってくれないんだッ、俺はもう、誰にも傷ついて欲しくないだけなのに!!」


 私の涙は止まっている。止まっているのに頬を雫が流れていく。


 それは、止めどなく早蕨さんの両目から零れていた。


「俺は仲間が大切で、もう、みんなに無茶して欲しくなくて、俺で全てが終わるならそうしたいってだけなのにッ!」


 早蕨さんが頭を抱えて叫んでいる。私の上で泣き続ける彼の目は、それでも怒りを持っていた。


 私は上体を振りをつけて起こし、早蕨さんの顔を殴る。


 よろめいた彼の下から抜け出れば、腕を掴まれて今度は私が殴られる。


 こめかみ、いってぇなッ


「貴方は英雄になんてなれない!」


 腹の底から声を出せ。私の翼は早いから、私の刃は鋭いから。


 負けるな氷雨。


 ここで負ければ、お前に明日なんて来ない。


「君は君に、優しくないッ!!」


 早蕨さんから貰う言葉。


 それに目を見開いて、私はハルバードのりず君を回したのだ。


「俺は守りたいだけだ!! 大事な人に優しくしていたいだけだ!! もしその結果が受け入れられなくて恨まれるなら、それでいい!! 仲間が救えたらそれでいいッ!!」


「そうやって自分が傷つけばいいだなんてッ、なんで自分を守らないんだよ!!」


 地面を蹴ってハルバードを叩き落とす。視界に入れたサンダルフォンさんはこちらを静観しており、止める気は無さそうだ。


 どうせどっちも殺すのだろう。


 ならば勝手に殺し合えと。


 あぁ、笑えねぇ。


 ハルバードを躱した早蕨さんは強く反発し、空中で私達を見下ろした。


「俺を守らなくて仲間を守れるなら、悔いなんてないよ!」


 そう言って蹴りを落としてくる彼を、地面に着く前に横から殴る。


「貴方に悔いがなかろうと、残されるこっちにはあるんだよッ!!」


 塔に激突した早蕨さん。けれども彼はその勢いのまま反発して私の顔を殴ってきた。


 口の中が切れる。鉄の味がする。


 それを地面に吐き出せば、サンダルフォンさんの声がした。


「血はあまり流さないでくださいね。勿体ないので」


 あぁ、うるせぇ。


 思う私は塔の上に視線を走らせる。


 ――ユピテルさん


 貴方は決められないのか。競争を続けることも、新しいことを始めることも。アルフヘイムに広がっている不安の種を開花させたくなから。


「そこにいますか!! ユピテルさんッ!!」


 喉が潰れてもいいと思いながら叫んでみせる。


 早蕨さんも反射的に上を見て、サンダルフォンさんのランプが揺れた気がした。


「貴方にとって、一番守りたいものはなんですか!!」


 大きく出しすぎた声の一部が掠れてしまう。それでも叫べ。


 叫べ、聞け、聞け、届かせろッ!!


「兵士さん達は貴方にとって、守りたいものに入らないんですか!」


 これ以上泣かせないで。これ以上苦しませないで。これ以上お墓なんて作らせないで。


 貴方がどれだけ私達を材料だと思おうとも、兵士さん達は私達を友人だと言ってくれたのだから。


「黙りなさい」


 サンダルフォンさんの声がして、私に向かって光弾が急速に近づいてくる。迫って、迫って、体が一瞬固まった。


 飛べ、飛べる、ひぃちゃんなら大丈夫。躱せ、氷雨、動け避けろ!


 思って地面を蹴ろうとした時、急に光弾の向きが変わる。


 待って、そっちは。


 私の息が止まりかけた。


「ひぃちゃんッ!!」


 奥歯を噛み締めたお姉さんは飛んでくれる。


 反応が遅れていた早蕨さん。


 彼に光弾が迫って、私は早蕨さんを突き飛ばしてしまうから。


 そう動いてくれとお姉さんに願ってしまったから。


 横腹に光弾がめり込む。四肢の末端まで痛みが駆け抜け、我慢しきれなくなったひぃちゃんの悲鳴が聞こえた。


「氷雨さんッ!」


 返事が出来ない。意識が一瞬飛んで、気づいた時には鉱石の地面を滑っていた。


 無意識に横腹を押さえて呻いてしまう。


 ひぃちゃんは背中から離れ、何度も名前を呼んでくれた。


 りず君はサンダルフォンさんに対する盾に変形してくれた。


 体全部が痛いと叫ぶ。立ち上がろうと足掻く足が地面を滑り、無様に立つことだって出来はしない。


 額から脂汗が滲んで、口の中に鉄臭い液体が溜まる。我慢ならなくてそれを吐けば、透明な鉱石の上に赤黒い血溜まりがぶちまけられた。


「あぁ、あぁ! 氷雨なんでだ! なんでこんなに、全部お前に優しくないんだ! 嫌だ、嫌だ、もう嫌だ! 全部嫌だ消えちまえ!!」


 りず君が叫ぶ声がするのに、私の喉からは声ではなく血が吐かれていく。


「何が正しいですか、氷雨さん。貴方と早蕨さんが殴り合うことが正しいですか。敵に戻ることが正しいですか。早蕨さんが言う通り、彼を置いて逃げることが正しいですか。氷雨さんと早蕨さんが、死ぬことが正しいですか……私にはもう、分からなぃ」


 泣いているひぃちゃんの問いに答えられない。


 ごめんひぃちゃん……私ももう、分からないよ。


 何が正しいとか正しくないとか。誰が死ぬとか生きるとか。どんな決着を望むかとか。


 もう、何も分からない。


 結局私は生きられないのか。


 早蕨さんも生きられないのか。


 なんで、なんで、私だって、ハッピーエンドが一番好きなのに。


 ただ仲間と、友達と――笑える明日が欲しいだけなのに。


 それは我儘なのか。


「あまり血を流さないでくださいねと言ったのに」


 サンダルフォンさんの声がする。私の視界は霞んで、りず君の盾が勢いよく倒される。


 純白の長がいる。見上げた彼との間に飛び込んで背を向けてくれたのは、やっぱり早蕨さんだから。


 彼が言う通り逃げればよかったのか。死ぬ気だと分かっている彼を残して。


 それで生き延びたって私は後悔しか抱かないのに。その選択をしなければいけなかったのか。


「氷雨さんも俺も、仲間を守っていたいのに」


 早蕨さんの肩が揺れる。サンダルフォンさんの手から投げられた光弾を、飛び出したカエトラのりず君と早蕨さんが受け止める。


 あぁ、また泣けてきた。


 倒れた私にもたれ掛かるように早蕨さんも倒れこんでくる。


 まるで世界がスローモーションのようで、倒れてきた彼の温かさが、心臓の音が、生きているのだと教えてくれた。


「なんで……俺達は、お互いの手を取って……笑えないんだ」


 早蕨さんが私の頭に手を置いて、庇うように乗ってくる。私は身動きが取れなくて、口の端から生ぬるい血が流れていくのが分かったのだ。


「どれだけ貴方達が叫び、お互いを傷つけ、分かり合おうとしなくても、結果は一緒です。私は貴方達を殺して、英雄として語り継いであげましょう」


「そうは、ッ」


「させません!!」


 りず君とひぃちゃんが飛び出してくれる。


 それでも長は強いから。二人はサンダルフォンさんの光輪に弾かれて地面を滑り、私の視界の外に行ってしまう。


 ごめん、ごめん、無力でごめん、ひぃちゃん、りず君。


 私は仲間との明日が欲しくて、少しだけみんなが生きられると期待して。その期待は破られて。


 震える腕で早蕨さんの頭を抱える。


 どうか、彼がもう傷つかないように。私だけが守られないように。


「……もっと別の場所で、出会ってたら……友達に、なれただろう、なぁ」


 早蕨さんの声がする。


 そうだね、私もそう思うよ。


 メタトロンさんに投げ飛ばされた時のように。動かなくなった体で、痛んだ四肢で、それでも笑ってしまうから。


「次は……もっと、ちゃんとした……はじめましてで、始めましょうね」


 サンダルフォンさんのランプが輝く。


 私は目を閉じて、もう痛くなければいいのにと思うんだ。


「ほんと――馬鹿な後輩達だな」


 そんな声と一緒に、目の前に壁が広がるとも思わないで。


おかしいな。2人とも願うことは一緒なのに。どうして分かり合えないんだろう。


そんな愚かで、馬鹿で、愛しい後輩を、どうか叱ってやってくれ。


明日も投稿致します。


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