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僕らは痛みと共にある  作者: 藍ねず
第四章 不退転の決意編
144/194

覚悟

暴れ回る感情を抑え込み、素知らぬフリをして、口を開いた。

――――――――――

2020/03/26 改稿

 

 兄さんと喧嘩したことは無かった。


 喧嘩したいと思わなかったし、する程お互い器用でも正直でもなかった。


 仕事に明け暮れる両親の代わりをしてくれたのが兄さんで、私は所謂いわゆるお荷物と言うやつだったのだ。


 兄さんが誰かと遊びに行くと聞いたことはないし、実際遊びに行った所も見たことがない。家に誰も呼ばないし、私が家にいれば絶対に彼もいる。それが当たり前だった。


 それを嫌がることはしなかったが、特に何かして遊ぶわけでもない変な空間だった記憶がある。


 小学生の頃は必ず兄さんと一緒に家に帰った。


 年の割に体躯が小さな私は両親に心配を与えていたようだし、兄さんはやっぱりお守り。私が一年生だろうと六年生だろうと、兄さんが迎えに来るまで学校で待っていた。


 一年生は兎も角、私が四年生になってからは兄さんは中学生だったのに。いつも決まった時間に来てくれたっけ。


 学童は三年生までだから四年生からは図書室で待った。中学の制服で小学校に入るの、嫌だっただろうな。


 学童の先生やクラスメイトには「仲がいい兄妹」で通っていたが、決してそんなことはない。


 ほとんど会話はないし、たまに話しかけられたから笑えば頭叩かれるし。


 私が中学生になったら叩かれることは無くなったが、懇々と「笑うな」と凄まれた。


 もし私がいなくて兄さんだけだったなら、彼はどれだけ楽だっただろう。


「氷雨ちゃん!!」


 ふと呼ばれる。


 目の前に迫っていたバスケットボール。


 あ、今、授業、


 ゴッ、と。


 音がしたと同時に視界が暗くなり、顔いっぱいに痛いが広がる。特に右頬。針で貫かれたような指先まで引き攣る痛み。


 寝不足と考えすぎの頭をフル回転させて片足を引き、顔から落ちるボールを両手で受け止めた。


 あ、鼻水出た。


「氷雨ちゃ、は、鼻血!!」


 小野宮さんの声がする。多分もの凄い勢いで駆けつけてくれてる人。


 翠ちゃんの柔らかい芳香も近くで感じて、私は手の甲で鼻の下を拭った。


 ぼやけた手の甲に赤がつく。それを上書きするように赤い水滴が落ちていった。顔を洗った後の茹だる水滴が如く。


 小さくも甲高いホイッスルの音がして、私は頭を回すことをやめた。


 慣れた鉄の匂いがする。


 * * *


 体育を途中退場した私は鼻血が止まるまで保健室待機になった。


 残念ながら養護の先生は出張中。保健委員の小野宮さんが慌ただしくも保健室を開けて、バケツに袋をかけ、ティッシュボックスを三箱も準備してくれた。面目ない。


 私が取り損ねたパスは湯水さんからのものだった。完全に別のことを考えていた私に非がある。ごめんなさい。


 今日は朝から机との距離感間違えるし、黒板全然見えなくて板書出来ないし、階段をよく踏み外すから手摺にしがみつく羽目になるし。


 流石に学校にはバスで来た。自転車だと轢かれる自信がある。車に迷惑だ。


 様子がおかしい私に気づいたお父さんに「送ろうか」と言ってもらえたが、連日心配をかけている両親にこれ以上心労をかけたくないので辞退した。気持ちだけで大丈夫です。


「はい、これ制服」


 私は襟口が赤く染まった体操服から、翠ちゃんが持ってきてくれた制服に着替える。


 小野宮さんと湯水さんも「体育のあいだ付き添ってる」と言ってくれたが、それは申し訳なさ過ぎて遠慮しておいた。


 焦っているから大きな声で話してくれて助かったな。授業中もほぼ無音だった。当てられることがなかったことが奇跡だ。この奇跡は明日も続いてくれるのだろうか。


「ありがとう翠ちゃん」


 着替えてお礼を伝え、翠ちゃんの口が動くのを何となく見る。しかし聞き取れずに首を傾げてしまえば、彼女は距離を詰めて声を少し大きくしてくれた。ごめん。


「いいのよ、出来ればしょぼくれてる二人を慰めてあげてほしいところだけど、それは出来そう?」


「あ、うん、ありがとう。分かった」


 湯水さん、気に病んでるだろうな。


 小野宮さんも顔を真っ青にして保健室に連れてきてくれたし。


 何やってんだよ私は。


 二人から安心を奪って、不安にさせて。これは私の問題で、私がきちんとしていれば全部起こりえなかったことなのに。もっとちゃんとしろ、氷雨。


 考えていれば、頭を撫でられて黒がフラッシュバックする。


 反射的に上を見れば、翠ちゃんが目を瞬かせている気がした。


 違う、ここはタガトフルム。あの暗幕はもうかけられていない。


「ごめんなさい、驚かせたわね」


「う、ううん、違う、大丈夫、ごめんね」


 眉を下げたらしい翠ちゃんに慌てて謝罪する。


 違う、違うよ翠ちゃん、大丈夫、大丈夫なんだ。これは私のせい。気持ちを切り替えることが出来ていない私のせい。


 翠ちゃんは私を見下ろしているようで、その表情は上手く伺えなかった。


「アルフヘイムで何かあった?」


 図星を突かれる。私の心臓は跳ねて脈が早まり、視線を下げてしまった。顔もゆっくり俯かせれば、それは何かあったのだと言う肯定になってしまうだろうに。


 馬鹿、やめろ、顔を上げろよ。


 でも多分、ここで「何でもない」と言っても翠ちゃんに不安の種を撒くだけだとも考える。


 昼間にアルフヘイムへ行くことすら検討する彼女に、これ以上の心配を与えたくはない。


「……ちょっとだけ」


 なんて、少しの嘘と本音を混ぜて答えておく。


 自分でも分かる。消え入りそうな声で、これは嘘なんだと。バレてしまう要素しかない嘘をつくだなんて気付いてほしいと言うようなものだ、恥ずかしい。


 駄目だな、嘘をつくことは多くなっていた筈なのに、やっぱりどうして夜来さんのように上手になれないのだもの。


 少しの間が出来る。いや、ここで翠ちゃんは何か呟いたかもしれない。私が聞こえていないだけかも。


 私は顔を下に向けて彼女の口を見ていない。見ても言葉が読み取れるわけではないが、喋ったかどうかだけは分かるし、聞き取れなければもう一度をお願い出来る。


 出来るのに、私はそれをしなかった。翠ちゃんと正面から向き合う勇気が今はなかったのだ。


 心にある棘を見られたくなくて、聞かれたくなくて、踏み込まれてしまえば翠ちゃんを傷つけてしまう気がして。


「分かった」


 声が、私の弱った鼓膜を揺らす。


 頭を撫でてくれる手は涙が出てしまいそうなほど優しいから。


 やっと顔を上げれば、翠ちゃんは笑ってくれているようだった。口角が上がっている気がする。


 あぁ、この距離でも見えないだなんて。


「分かったわ、氷雨。だから良いの、大丈夫。私は傷ついてないし、貴方を嫌ってもいないわ」


 肯定される。どれかではなく、全てを肯定される。


 その瞬間肩から力が抜けて、私の呼吸は楽になったんだ。


 この、押し留めた感情で翠ちゃんを傷つけることを怖がった。それを隠して彼女に見放されるのも怖がった。


 何もかもを怖がって、何も得られないかもしれないと私は感じていた。


 そのことに彼女の言葉で気づかされて、早蕨さんのことは言えないと自分を嘲笑ちょうしょうするのだ。


 怖がっている。私は、友達に、仲間に、見放されるのを怖がっている。


「ありがとう」


 伝えて笑い、より頭を撫でられる。


 それだけで暴れ回る感情は落ち着いていき、その気持ちのまま教室に帰ることが出来たのだ。


 教室のドアを開ければ飛び出して来た湯水さんと小野宮さんと鉢合わせて、抱き着かれた。


 湯水さんには何度も「大丈夫!?」と確認され、私は何回も首を縦に振ったんだ。


「ごめんなさい、今日少し熱っぽくて、ぼーっとしてしまったんです」


 そんな本音に近いことを混ぜた嘘をついた。熱っぽいのは嘘。でも別のことを考えていたのは本当。


 きっと私は明後日、学校に来られない。


 今日アルフヘイムに行った時、呪いを解く方法を探す前に兄さんと対峙しなければならないだろうから。


 明日はまだ目と耳が上手く機能しないだろう。そして、次の夜にアルフヘイムに行けば梵さんと私の声は出なくなる。


 だからこれは予防線。


 万が一、誰も呪いを解く方法を見つけられないままだったら。喋れないことを隠し通せる気がしないから。


 どうして声が出なくなったのか。


 風邪のせいです。


 ならばもう、学校を休んでしまった方が恐らくいい。


 数日前から熱っぽいと言っていた。だからそれが悪化したんだろう。


 その程度で思っておいてほしい。どうか心配しないでほしい。


 あぁ、ずるい布石が打てるようになったもんだ。


 自分に嫌気がさして笑う。休み時間は机に伏せて、授業中はほぼ無音の五十分を過ごし、ホームルームは何もメモがとれなかった。


 あぁ。夜がくる。


 来てほしく、ないんだけどな。


 思いながら静かな教室を出て、バス停に向かったんだ。


 * * *


 ほら、やっぱり。


 ぼやけても綺麗な青空を見上げる私は、仰向けに倒れていた。


 綺麗な世界の中で、白と黒のまだらな鉱石の地面に。


 手にりず君はいない。


 白玉さんにハルバードとなったパートナーをもぎ取られたから。狼さんはカラドリオスさんのお城の枝に鎮座してしまったようだ。


 りず君の「ひーさーめー!」と言う叫びが何とか聞き取れたが、助けに行ってくれたひぃちゃんの翼は屍さんの手甲鉤に貫かれ、お城に貼り付けにされてしまった。


 見えなくても感覚で伝えられる。


 あぁ、ごめん。私はなりふり構わず走り出してお城に入り、白玉さんを殴りに行って、ひぃちゃんに痛い思いをさせている武器を抜き取らなければいけないのに。


 りず君は針鼠に戻っても、白玉さんの威嚇で体が固まり動けない。


 ひぃちゃん、それ以上藻掻かないで、貴方の翼がこれ以上傷つく必要はないから。どうか、どうか無理をしないで。


 思って、想って、私の頬に擦り寄って泣いているらず君に手を伸ばす。駄目だ、指先が震える。


 私の鳩尾部分に足が乗せられる。


 それは少しずつ体重をかけてきて、私の喉からは呻き声が漏れてしまった。


「こっちに来た時から戦いは始まってんだよ、愚図」


 らず君の輝きが強まって私の鼓膜が声を拾う。


 私を踏んでいる、兄さん。


 兄の顔は確認出来ないけど、きっと無表情なんでしょうね。


 私は兄さんの足首を掴んで奥歯を噛み締める。兄さんの言葉はいつも正しい。


 私がアルフヘイムに空から吐き出された時、下から飛来する電撃に気付くのが遅れた。轟も小さく、どこか遠くで雷が鳴ったのだと錯覚したのだ。


 けれどもそれは間違いで、その電撃は人の手によるものだった。


 近づく雷電をひぃちゃんがかわしてくれたが、避けた先に時沼さんが現れるなんて予想はしていなかった。


 両手を握り合わせたようなシルエット。彼はその両腕を振り上げており、りず君にカエトラになってもらった。


 ひぃちゃんも体を仰向けにして、私の盾が時沼さんの殴打を受けられるようにしてくれた。


 けれども、空中だとは思えない威力でりず君にめり込んだ拳に私達は吹き飛ばされた。


 ひぃちゃんが体勢を立て直そうとすれば白玉さんが跳躍してくるし、屍さん乗ってるし。


 りず君にハルバードになってもらえば先述の通り。


 りず君は奪われた。ひぃちゃんは地面にぶつかる直前に旋回して、私を下ろしてからりず君に向かってくれた。お姉さんだけの方が早く的確に判断出来るから。


 けれどもその間に、視界の外から兄さんに蹴り飛ばされて今に至る。らず君だけでは対処出来なかった。


 無念。ごめん、私のせいだ。私が反応出来なかったから。らず君が吹き飛ばないように抱えられたことだけは良かったのかな。


 早蕨さんは影の中に吐き出されたんだろう。闇雲さんの姿らしきものが見えない。


 三対一を卑怯だなんて言わないが、本調子だともう少し粘れたのかなという言い訳がましい考えが浮かぶ。


 違うな。視力も聴力も戻ろうが、あの三人のコンボは抜け出せなかった気がする。


 気がするが、兄さんよ、平衡感覚がうまく取れてない相手の額を蹴り飛ばすとは足癖が宜しいようですね。額も後頭部も割れなくてよかった。少し電撃が掠っていたんだろう。右腕の震えは段々と落ち着いてきたぞ。


 これ、殺されるのだろうか。


 息の根を止められるんだろうか。


 思案する。


 ルアス軍の中にディアス軍は私だけ。


 休戦中の早蕨さんは影の中。


 カラドリオスさん達が手を貸してくれるとは思えないし、私の硝子は既に目と耳を精一杯補助してくれている。


 昨日からずっと全力でいてくれるらず君。君のヒビが深くならないよう、私には何が出来るのかな。


「兄さん、兄さんはいつから私が嫌いだった?」


 目を閉じながら聞いてみる。らず君に視力の補助は止めてもらった。


 耳だけでいい。言葉だけでいい。表情を見る気も失せたから。


「ずっとだ、ずっと昔から」


「……そっかぁ」


 耳がよりよく聞こえる。兄さんの声はきちんと届く。


 私の鳩尾を踏む彼の足首を掴み続け、どこかに好機はないか探していよう。


「兄さん……私、お母さんに手、繋いでもらえた」


「……そうか」


「うん。お父さんとも最近、よく話せるようになったよ」


「そうか」


「うん」


 近況報告。一方的に。


 だってやっぱり、ずるいではないか。私だけ恩恵を貰うだなんてさ。


 兄さん、お願いだから電話をとってあげてよね。


「お母さんもお父さんも、兄さんに話したいことがあるってさ」


「昔戦士でした、とか言うのか」


 目を見開く。


 霞んだ視界の中、見下ろすようなシルエットの兄さんの足に力が籠った。


「やっぱりな」


「……知ってたんだ」


 あまりのことに唖然としてしまう。


 一体どこに気づく要素があったんだ。私には分からない。やっぱり兄さんは頭の構造から違うのかしら。


「母さんは潔癖症でもねぇのに手袋をしてる。父さんは会話の前に間を持てば喋れる。家の中の色が偏ってる。勝った戦士には祝福が与えられるって知った時、まさかと思ってただけだ」


「……頭いいなぁ、やっぱり」


「世事はいい。今確信出来ただけで十分だ」


 正直な感想を言って再び目を閉じる。兄さんの足に体重がかけられなくなったと感じながら。


 知っていたのに言わないで、聞かないで、仮定のままにしていた彼の考えに勝手に確証を与えてしまった。とんだお節介だ。嫌な妹でごめん。


 不出来で察しの悪い、馬鹿な妹。


 嫌われて当然か。好きでいてもらえる要素がない。


「兄さん、二人からの電話とってあげて、お願いだから」


「とる意味がねぇな」


「兄さん」


 手に力をより入れる。兄さんの足首は私の掌では一周もしないわけだが、掴めないわけではない。


「感謝してるよ。俺をここまで育ててくれた、大学にだって行かせてくれてる。安心しろよ氷雨、お前が死んでも俺がちゃんと親孝行してやるから」


「今しろよ、ふざけんな」


「今はまだ時期じゃねぇ」


 兄さんの足を退かせようと腕に力を入れる。足が少し浮いた。けどすぐに落ちてきて鳩尾に埋まる。


 そのせいで私の口からは空気の塊が吐き出され、せ返ってしまうのだ。


 鳩尾から全身に広がった鈍い痛みと閉塞感で眩暈がする。兄さんは足を退けて私の前髪を掴み、強制的に起き上がらされた。


 痛い、髪、ふざけ、こいつ、痛い。


 兄さんの手首を両手で掴む。しゃがんだらしい兄さんの顔が近くにあり、昨日今日の中では一番鮮明に顔を確認出来た。


 無表情、何を考えているか分からない。分かれない。


「兄さん」


「氷雨、俺はお前が嫌いだ。死ねばいいと思う。お前の仲間も、お前自身も」


 また、抉られる。


 鋭い言葉が刺さってくる。


 らず君は泣いて、私は喉が締め付けられたように呼吸がしづらくなるんだ。


「お前に痣が浮かんだ時、あぁ、これでお前は死ぬと思った。今もそうだ、希望を潰す為にこのシュスで待ってたんだ。時沼に聞いてたからな、お前が色んなシュスの情報を持ってるって。だから先回りしたんだ。お前から生きる希望を、気力を奪いたくて」


 なんで、なんで、なんでそこまで。


 私は奥歯を噛み締めて、右手を力を込めて振る。それは強く兄さんの頬を打ち、乾いた音が耳に小さく入ってきた。


 兄さんの綺麗な顔が横を向いている。その頬は私の平手のせいで微かに赤くなっているようで、けれども彼は怒りも何もしなかった。


「……俺のこと嫌いだろ、氷雨。死ねばいいと思うだろ」


 聞かれる。


 もうやめて、もう嫌だ、この人と言葉を交わしていたくない。体の中を感情が暴れ回り、らず君が痛がってしまう。


 それを抑え込む為に目を固く瞑るが、兄さんの言葉のせいで直ぐに開いてしまうことになった。


「あるぞ、一つだけ。お前が生きて、俺が死ぬ方法」


 見る。瞼をこれでもかと見開いて、目が飛び出すといった表現が合うのではないかと言う表情で。


 兄さんは私を見下ろして、黒い双眼と視線が交わった。


 あ、この目は――嫌だ。


「告げ鳥の痣は消すことが出来ない」


 嫌だ、嫌だ、その目、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌だ、熱い、赤だ、あの赤だ、燃え盛るシュスの中の、あの二人と同じ目だ。


「だが、移すことは出来る。一度だけ、一度きりだけ」


 やめて、嫌だ、その目は変えられない、固く覚悟した目だ。なんで、なんで、なんでッ


「なんで貴方がその目をしてるの! 兄さんッ!!」


 先を聞きたくなくて私は叫ぶ。


 それでも兄さんは微動だにしなくて、私をずっと見ていたんだ。


「チャンスをやる。俺に痣を移せ、氷雨」


 ――怪我、しないでね


 ――貴方に、幸あらんことを


 メネちゃん、ヴァン君。


 目の前に赤い業火が燃え上がり、肺が焼ける気がして、右頬に兄さんの掌が添えられた。


いいか、チャンスは一回だけだ。


覚悟とは、一体誰の覚悟だろうか。


明日は投稿、お休み日。

明後日投稿、致します。


ブックマークが20件になっていて、嬉しさで胸がいっぱいです。作者です。本当に、ありがとうございます。

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