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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

バブルヘッド

 とある雨の夜。

 交差点で人が轢かれた。トラックに踏み潰された被害者は、女性ということはわかるが、顔が潰され特定ができないほどに無惨な姿となっていた。この事件以降、その交差点には都市伝説ができた。

 曰く、「交差点を通るとき、雨が降っていたなら用心しなければならない。女の霊が、仲間を増やそうと飛び込んでくる」というものだ。ある種教訓のようなものも感じるが、ある日これが洒落にならなくなる。再び事故が起こり、運転手は女が飛び込んできたと証言したからだ。幸いにも怪我人は出ず、車とガードレールが破損しただけであったが、周辺に住む住民達には大きな動揺が走った。

 その後この話はタブーとされ、口に出すものはいなくなったが相変わらず事故は起き続けた。

 それから数年後、車がガードレールに突っ込んだため、とある業者が修理に来た。偶然にも雨の日だった。

作業員は男と相棒の二人。黙々と作業をこなしていると、男は道の反対側に誰かが立っているのを見た。雨が降っているにもかかわらず、傘もささずに。

 はじめは妙な人がいるなとだけ思い、放っておいた男だったが、三十分一時間とたっても女は動かない。男はこらえきれなくなり相棒に話しかけた。

「あそこにずっと立ってる人はどうしたんだろうな。傘もさしてないし」

すると相棒は鋭い口調で返事をした。

「しっ! その話はやめろ!」

男は驚き、どうしたんだと問うたが、相棒は無視して作業を続ける。

 作業は終わり、車に戻ろうとしたとき、いつの間にか女は消えていた。

 相棒もそれに気付き、重い口調で話始めた。

「俺はこの辺りの出身なんだ。この交差点では事故で女が頭を潰されて亡くなっててさ。そいつが仲間を欲しがって事故を起こしてるって噂があって。あの女を見たときそれを思い出しちまったんだ」

男は納得し、もう一度女がいたところを見て、車のエンジンをかけた。

 瞬間、男は浮遊感を感じた。

 そして強い衝撃、男の意識はそこで消えた。

 目が覚めると、男は病院にいた。乗っていた車はトラックに追突されていた。相棒は助からなかった。

 退院後、男は交差点に向かった。子供が遊んでいるのか、シャボン玉が飛んでいた。

男が追突された現場は、直したばかりのガードレールがぐしゃぐしゃになっており、事故の壮絶さを感じさせた。

 それらを見ていると、道の反対側に気配を感じた。男は思わず目を向けた。しかし何も見えない。その時、目の前をシャボン玉が横切った。シャボン玉を透かして見たとき、道の反対側に女の下半身が見えた。

 雨の日に死んだから、水にしか映らないのかもしれない。男はそう思った。再び、シャボン玉が目の前を通る。今度は全体が見えた。

 その女には頭がなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 男は後退り、踵を返した。そして自らの眼に、迫り来る車と歪んだ笑みを浮かべる女を映し、死んだ。

作者の居住地はもう夏です。暑い。

怪談で背筋を冷やそうかと思います。

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