レイとシオンの出会い
午後5時頃、レイナは目を覚ました。特にすることもないため、病院内でも探索しようと病室を出て、病院のロビーへと向かった。
「今日の夜ご飯は何かな♪」
車椅子に乗りながら、楽しそうに病室へ向かう男の子がいた。彼の名はアルシオン=ウォーカー。レイナと同じ13歳で、レイナの隣の病室、305号室だった。彼は心臓病を患っており、普通の生活がままならない状態だった。
「さぁ、もうすぐ病室に着きますよ」
アルシオンの背中を押すのはマーガレットだった。病室に着く直前、アルシオンは目の前の1人の少女を見た。それが、アルシオンとレイナの出会いだった。
「メグ、今の人はだれ?」
アルシオンは、銀髪蒼眼でロングヘアー、おまけに美少女という部類に入るであろうレイナを見て、とても興味が湧いた。
「彼女はレイナ=アシュリーさんよ。あなたと同い年で、あなたの隣の病室にいるわ。」
アルシオンは目を輝かせながら、レイナに話しかけた。
「レイナ...さん?こんにちは!」
「...こんにちは」
レイナはアルシオンに気づき、無表情で挨拶を返した。アルシオンは満足気な顔で会話を続ける。
「僕はアルシオン=ウォーカーって言うんだ!シオンって呼んでもらえると嬉しいな!」
「シオンね。よろしく」
相変わらず無表情なレイナ。それを気にせず、アルシオンは話を弾ませる。
「急にごめんね!僕、同じ年齢の子がこの病院にいなくて寂しかったんだ...。だからレイに会えてとても嬉しくて。ねぇ、よかったら友達になってくれない?」
なんともコミュニュケーション能力に長けた子供だ。正反対のレイナは、アルシオンに返事を出す。
「友達...?いいけど...」
「わーい!やったー!よろしくね、レイ!」
さらに目を輝かせるアルシオン。
「うん。よろしく、シオン」
状況をよく掴めないレイナ。そんな2人を見つめながら、マーガレットは微笑んで言った。
「さぁ!仲良く友達になったところで、そろそろお部屋に入りましょうか!アシュリーさんも、そろそろ夕飯を用意しますからね」
2人は病室に入り、しばらくするとそれぞれの部屋に食事が用意された。
いつも以上に美味しそうに食べるアルシオン。
いつも通り無表情で食べるレイナ。
正反対の2人の病室を挟むのは、壁一枚だった。その後の時間はあっという間に過ぎ、そして、夜が明けた...