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魔王継承  作者: FIIFII
第一章 召喚師、魔王を継ぐ
8/31

八話 決着

「な……ぜ…………」


 ベレッタがそう口から漏らすのも不思議ではなかった。

 魔王とはいえ、子供にプレートを滅ぼすとまで謳われた最大威力の魔術を使用して、立っていたのだから。

 その問いに答えたのは、プロミネンスデストロイヤーを受けた魔王だった。

 なんとか立っている状態のベレッタに向かって歩きながら、ゆっくりと語る。


「『魔消の壁』で簡単に防げた。所詮魔力の塊だ、俺に効こう筈も無し。だがあのパンチはかなり痛かったな」


 そんな馬鹿な、とベレッタは思った。

 圧倒的な力の差があったはずなのに、と。

 そして、どう考えても勝ち目のないこの戦い。


「あたいの……負けだね」


 ベレッタはそう言い、仰向けに倒れ込んだ。






「――ッ!?」

「魔王様!」


 戦闘が終了して宝具を解いた魔王の体には激痛が襲っていた。

 宝具の反動。

 プレートを崩壊させる力を越えた代償は、高くついた。


「魔王様! 御無事ですか魔王様!」


 デス・トーカーは三人しかいない闘技場で、一人狼狽えていた。


「痛覚を遮断する魔術…………『シャシェガ・ドルゲーザ』」


 何事もなかったかのように立ち上がる魔王。

 ベレッタを見下ろして一言。


「約束だ、協力しろ」


 魔力を限界まで消費して力が入らない体を無理やり起こし、ベレッタは返事をした。


「『強きは善、弱きは従え。王は最強である』……初代魔王が遺した言葉さ、あたいは王に従うよ」


 魔王はそれを聞いて満足したのか、デス・トーカーの方を向いて口を開いた。


「部屋に戻る。今は体を休めなければ」

「ハッ」


 そこに怒りはなかった。

 負の感情ではなく、どこか温かい。

 そんなどこか曖昧なものを胸に、魔王はデス・トーカーと共にその場を去った。

 ベレッタは魔王が去った後、呟いていた。


「その宝具は勇者の……かの王は既に…………」


 返事をする者はいない。

 疲れた顔をしながらベレッタは転移で自室に戻った。



 無人となった闘技場に、どこからか風が吹いた。

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