二十七話 勇者見習い兼、魔王。マインボナパルト
私は……そう。最初は何も知りませんでした。
無から生まれたのです。空白のプレートに位置する、かの無の大陸で。
魔王として生まれた私は、何かにつられるようにして魔王城のあるプレートに向かったのです。
そこでは誰もかれもが嘆き悲しんでいましたが、私を見た途端。いえ、私の魔力を感じた途端に魔王が再来したと喜んだのです。
そこにいるデス・トーカーやシスイ、その他大勢が私に膝をつくのです。
自我が、芽生えました。
物心ついたとでも表現すればいいのでしょうか?
とにかく私はそうして最初から魔王であったのです。
長い年月を魔王城で過ごしました。
ええ、とても。とても楽しい日々でした。
ですがある日突然、人間の手によって全てが滅ぼされたのです。
私は幼子の容姿だったこともあり、魔力を隠す技術を身に着けていたため魔王とは認識されませんでした。逃げられたのです。
身寄りが見つからず孤児院に入れられた私は、魔王としての力を活用し功績を積み立てました。
何をやれば生きていけるか、理解していたのです。
不思議な力を扱う私を忌避することもなく受け入れてくれた孤児院は、私のせいで潰れました。
力をつけた孤児院を疎ましく思った国そのものが、あらゆる手を使って壊滅に追い込んだのです。
復讐をしました。
ですが国を潰した後、他国の遠征から帰ってきた勇者と戦闘になり……破れました。
とても激しい戦いで、途中までは私が優勢でした。
勇者の力は聖なる力を帯びていて、浄化の力が働き私は負けたのです。
死にました。
そう、もう、あっけなく死にました。
魔宝玉のところに魔王の魔力が回帰し、私の魂だけが次元を彷徨っていました。
気が付いた時、私は死後の世界で勇者の力を身に着けていました。
中学生の時、ふとすべてを思い出したのです。
それは不運にも、これからの人生を変えるものでした。
前世の知識と力を使い、お金を作り出しました。
人間の魔力を使わない、勇者にしか扱えない聖力はこの世界でも魔力の代用として扱えたのです。
私の人生は何不自由ないものへと変わっていきました。
ただ、孤独が身近なものでした。
両親は事故で他界し、兄妹は不運にも病気で亡くなりました。
独りで日本を歩き回り、とある公園で魔王の魔力を見つけました。
彼が、魔王でした。




