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魔王継承  作者: FIIFII
第二章 日常とはかけ離れた日常を
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二十六話 明日、君は夢を見る

 世に(いずる)醜悪な魂。

 下衆はその者を構成する根底の部分から、下衆である。

 そんな下衆の一人に、変わり者の悪がいた。


 悪はプレートを渡り歩きながら暴虐の限りを尽くした。

 自分より弱い者しかいないプレートだけを進むという下衆っぷりだ。

 悪はとにかく悪行をする自分に酔い、同種の下衆を集め、強引に女を侍らせ、次々と力をつけた。

 その集団は有名になり、醜悪な魂(ゲスソウル)と呼ばれるようになった。


 とうとう魔王がその存在を無視しきれなくなった頃、リーダーはとある作戦を練っていた。

 魔王城を攻め落とし、自分が魔王に成り代わるのだと。

 勿論、勝つ為の算段を立てて、用意周到に準備を進めた。




 襲撃は深夜だった。

 特に気配探知に長けている城の者が気付いた時には、もう賊は侵入していた。

 様々な効果の宝具を駆使していたのだ。

 もちろんその宝具は簒奪されてきたものである。

 城内の者を宝具で眠らせ、あとは魔王を殺すだけとなった時。異変を察知した魔王が動いた。


「よう、えーっと……ゲスソウルだったか。俺が魔王だ。お前が首領か?」

「ああ」

「狙いは俺の首だろう」

「まーな」

「悪いが、他の奴は全員眠らせた。先にそっちがやったんだからおあいこだろう?」


 事実その通りだった。

 魔王が現れたとき、空間転移で下っ端たちを死屍累々と積み上げたのだ。


「そうだな」

一対一(サシ)で俺に勝てるとでも思っているのか?」

「勝てればいいとは思ってる」


 どこまでも飄々と、何事にも興味のなさそうな集団のリーダーに魔王は疑問を抱いた。


「お前、首領にしては覇気がないな。しゃれこうべみてぇなやつだ」

「髑髏と言ってくれ」

「長話もなんだ。夜明けも近い。帰ってくれんか?」

「断る。これでも下衆の下衆の長だ」

「……⁉」


 突如、魔王の背から汗が流れる。

 目の前の男から放たれる威圧が、想像以上のものだったからだ。

 そしてそれは、自身を除けば魔王城最強のベレッタをも凌駕している。


「ここまでの力を持っているとはな。俺の宝具、『新たな光』で簡単に倒してしまってもつまらん。この魔を統べる王が直々に相手をしてやる」

「――死んだ水のような生、名をシスイ」

「三代目魔王、名をキャヴァリアエ。冥府への階段を昇るがいい」







 …………その後、シスイは魔王の傘下に入った。

 どのような戦いが繰り広げられたのか、眠らされていた者たちは知らない。

 だが、壮絶なものであったのは間違いない。

 魔王領のプレートの隣、その一つが跡形もなくなっていたのだから。


 実際のところ、魔王が本気を出したところでシスイには及ばなかったのだ。

 悪から生まれた、下衆。非道こそが信念であり根幹であり起源であるシスイの力は、世界で一番弱く、そして強い。

 弱者は強者に勝てる(ジャイアントキリング)。シスイは相手が強ければ強いほど、自身も強くなる。


 それがなぜ負けたのか。それは魔王の宝具から説明しなければならない。

 『新たな光』は戦闘用の宝具。その効果は相手の力を上回る。

 シンプルに強力であり、その分弱点もある。

 一対一ならまだしも、一対多の状況下だと発動できないのだ。

 だからこそ魔王はシスイの部下から処理したのだ。


 そして、シスイの『性質』と魔王の『宝具』対決は魔王が勝った。

 それから一年後、傘下に入り異例の早さで地位を登り詰め、魔王幹部シスイの誕生である。

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