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魔王継承  作者: FIIFII
第二章 日常とはかけ離れた日常を
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十五話 万引き、ダメ、ゼッタイ

 この世界は地球という、広大な宇宙の中にある惑星らしい。

 俺がいた世界は、次元の狭間でプレートを動かしてなんとかなっている。

 つまり、宇宙=次元の狭間、地球=プレート、と考えれば話は早い。

 そんなことを知識の泉で学びながら、とりあえず今からどうするかをデス・トーカーと考える。


「日が暮れそうです魔王様。魔物が湧き始めたら……」

「トーカー、この世界に魔物はいない」

「そ、そうなのですか」

「知識がなければ無理もない。飲まず食わずでも生きていける『魔人』の我々は、容姿からして『ガイコクジン』と思われるそうだから、衣服さえ調達できれば下に降りて探索も出来るだろう」

「それでは目立たぬような服をお出しすれば宜しいのですね」


 それもいいが……と考えてからあることに気付く。


「待て! 魔力は霧散するから――」


 遅かった。


「ぐっ…………」


 思わず目を閉じたが、音で分かる。

 かなりの数の質量がデス・トーカーに降り注いだ。

 これはいくら魔人といえど痛いだろう。


「ま、魔王様……助けてください」


 滑稽なデス・トーカーの姿を見れて一安心したあと、山の中から引きずり出す。


「これが重力という概念か」

「どうかされましたか?」

「いや、なんでもない」


 重力なんて発想は、向こうの世界ではなかったものだから感心してしまった。


「さて、この世界で魔術を使う方法を教える。魔力を放出できないのなら体内で発動させれば良いのだから、体内に結界魔術で魔力の壁を張り漏れなくすれば完成だ。まずは『隠身』で姿を透明にして、服を盗む。見つからなければなんら問題はない」


 デス・トーカーが試しに物を空間に収納する。


「こんな感じですか……魔力の消費量が心なしか多いですね」

「魔力という概念が存在していない世界だからな。仕方あるまい」


 そして落ちていた物を全て収納したあと、俺たちは『隠身』を使ってからビルとかいう建物の屋上を降りた。

 『隠身』は人の視覚から逃れる魔術。つまり姿が見えていないので目立つはずがない。

 仮に見つかっても、まあなんとかなるだろう。




 と、思っていたが数分後。

 服飾店の店内でサイレンが鳴り響いていた。


「泥棒よー! 警備員早く!」


 簡単に見つかってしまった。

 なぜ姿を隠していたのに特定できたのだろうかと考えるが、知識の泉がこんな時に役立った。


「防犯タグ、か。入口にあるゲートを潜るときにまんまと感知されてしまったというわけだ。トーカーの空間魔術が役立たずだというわけだな」

「魔王様! 早くお逃げください」

「わかったわかった。しかし世界が違うだけでこうまでして違うのか。面白いなここは」



 そしてなんとか逃げおおせた後、俺たちはその地を遠く離れた。

 ヒッチハイクに無賃乗車、金がないので仕方がない。

 そうして、トーキョーという場所から遠く離れたオーサカという場所に移り、帰る方法を模索するつもりだった。

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