表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王継承  作者: FIIFII
第二章 日常とはかけ離れた日常を
14/31

十四話 魔王、異世界へ

 魔王として暮らし始めて約一月。

 溜まっていた仕事も落ち着き、デス・トーカーが雑務をこなし、安定していた。

 そんなとき、魔王城に異変が起こった。

 それは俺が自室で菓子を頬張りジュースを飲んでいる最中のこと。


「トーカー。城の様子がおかしい」

「それはどのような」

「魔王城の魔力が、僅かだが乱れている」

「おかしいですね……願叶族は魔力供給を惜しまないので、有りえません」


 願叶族は魔王城の転移の力や、プレートの維持に力を注いでいる。

 なんでも、人には見えないらしい。

 つまりどこにいるかはわからないが、廊下を歩いている時にすれ違った可能性もあるわけだ。

 触れられないらしいけど。


「原因があるとすればどこだ?」

「この世界でない者が来訪したと考えるしかありません。異世界の何かが城に迷いこんだのでしょう」


 そういえばこの城は、異空間と繋がっているのだったか。


「よし、確認に行くぞ」


 転移は便利だ。いつでも好きな時に城内を歩き回れる。

 願叶族は有能だな。どこにいるのかは知らないが。


「さて、いるとすればここだが……」


 転移先は、異世界に繋がっていると注意された扉の前。

 デス・トーカーも転移してきている。


「危険な動物がいるやもしれません。万が一のために、私の後ろにお下がりください」

「わかった」


 俺が下がったのを確認すると、デス・トーカーは扉を開いた。

 扉の先には……。



「おお。これはまた」


 扉の先には、見たこともない風景が広がっていた。

 あの雲を貫かんほど高くそびえ立つのは、稀少な鉄で作られた塔か。

 周囲は石のようなよくわからないもので作られた塔ばかりで、下からは騒音が鳴り響く。

 耳が痛いな。

 なぜか扉が開かれた瞬間内側にいたが、この光景は興味をひかれるな。


「以前はこのようなところではなかったのですが……?」

「トーカー。扉を開いたら突然扉の内側にいたのだが、これはどういう……?」


 二人同時に言葉を発し、二人同時に振り返る。

 扉は跡形もなく消え去っていた。




「なあトーカー。帰れるのか?」

「……どうなんでしょうね?」



--------



「魔力使用不可、宝具は動く。体に異常なし」

「ひとまず帰る方法を探さないといけませんね」

「早速『知識の泉』を使ってみたが、これは凄いぞ。この世界の知識で溢れかえっている。そしてこの世界、なかなか面白い」

「魔王様……まずは帰る方法を」

「すまんすまん。ではしばらく頭が痛くて動けないようになるから、待っていてくれ」


 数分苦しんだ後、出た答えは。


「魔王様。どうですか」

「…………ない」

「はい?」


 一拍置いて、こう言った。


「魔王城が異世界へ繋がっていたのは、願叶族の力だ。原因は不明だが、それが一時的に途切れたのだろう。その時にあちらの世界よりも、こちらの世界に近かったせいで連れてこられたのだ」

「では……」

「帰る方法は、見つからなかった。魔力で強引に渡ることはできるが、足りない」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ