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浅葱の夢見し  作者: いろはうた
第一部
21/50

ルート3  哀しき笑み

badendから公開していきます!!

順番は混同しておりますので悪しからず……

*ルート3  ヒタギをかばう





獣たちが、一斉にヒタギに襲いかかる。


カエデは全力でシキの両腕を振り払って、まっしぐらにヒタギに向かって駆けた。


彼は、素早く獣たちをかわしていた。


だが、その時、彼の体がぐらりと揺れた。


血が足りないのかもしれない。


彼の背後に近づく、最後の一匹。


彼は気づかない。


何も考えなかった。


体が勝手に動いた。


そうして、ヒタギの背後に身をおどらせて――――――



「っ!!」



シキが目を見開いて、急いで術を紡ぐような仕草を見せたが、それは少し遅かった。







目の前に、紅が舞った。






胸が焼けるように熱い。


痛いを通り越して、熱い。


姿勢を保てない。


ゆっくりと、視界が傾いていく。


地面に激突する寸前に、強い腕が抱きとめてくれた。


青い瞳と目が合う。


カエデの大好きな、青い瞳。


それでがいまだかつてないほど、揺らいでいた。


視線をシキの方に動かしてみた。


彼はただ茫然と目を見開いて、立っていた。


なんだか、迷子のようなその姿に、カエデはそっと視線を逸らした。


自分の姿を見ているようで、それ以上は耐えられなかった。


何故、とヒタギの唇が動いた。



何故?


あなたが好きだからに決まっているじゃない。


あなたが好きで、私の心が弱いからに決まっているじゃない。


私はこれ以上、あなたが『ハルナ』を愛するのを見ていられない。


我慢できない。


だから、あなたの命を守って死ねるなら、それでいいの。


私は幸せだよ。


だから、


だから、泣かないでヒタギ。


そんな、哀しい顔で泣かないで。



そう言いたいのに、声が出ない。


ヒタギが何かを言ってくれているのに、何も聞こえない。



(声を…ヒタギの声を聞きたいよ…)



頬にぱちゃぱちゃといくつも雫が落ちてきた。


だんだんと視界がぼやけてきて


ヒタギがどんな顔をしているのかすら見えなくなる。


胸がべっちゃりと濡れて気持ち悪かったが、ヒタギの腕に抱かれて、


カエデはこれ以上ないほど幸せだった。



(最後には、ヒタギの笑った顔が見たかったなぁ…)



意識も靄がかかったようにぼんやりとしてくる。



(いつか、いつか生まれ変わったら、


 ヒタギのことを真正面から好きになれたらいいなぁ…)



「…ぃやだ、いやだ死ぬな!!」



ヒタギの涙にまみれた声が聞こえるのは幻聴だろうか。



(ヒタギ…大好きだよ…。


 …もし、私が本家の巫女として生まれていたら、


 『ハルナ』として生まれていたら、私のこと好きになってくれたかな……)





「勝手に死ぬなど許さない!


 頼むから、おれを置いていくな、カエデっ……!!」




(私…の、名前……??私の気のせいかな……)


(ごめんね…ヒタギ……今まで騙していて…………さよ…な、ら…………)


カエデはそっと意識を手放した。





漆黒の忍びをかばって、式神より深い傷を負った白銀の巫女は、永遠にその瞼を閉ざした。


彼女の唇は哀しい笑みの形を刻んでいた。


だらりと力なく垂れた白銀の巫女の手を握りしめて、青年は叫んだ。


己の非力と、運命を呪った。




やがて、紅にまみれた漆黒の忍びは、ゆっくりと憎しみのまなざしを


立ちすくむ紫金の皇子に向けた。





~end~



ルート3がbadendな理由は、まあ、あれですね。


「お姉さん、もう少し、自分の命、大切にしようか…!?」

と言いたくなるほどの、カエデさんの捨身っぷりが原因です。

はい。


もう少し、その時の緊迫している空気を考えなくてはなりません。

もう、しきしゃま、ヒタギさんを殺す気まんまんでビンビンしてますから、

そこで、

「やめろうううおおおおおおっ!!」

と突っ込んでいくのではなく、別の方法を取りましょうということですね。

だから、しきしゃまも突然つっこんできたカエデさんに、対応しきれず、

勢い余ってざくっとな……



次も、badendの予定です~

最後の最後にhappyendをいれようかと……

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