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浅葱の夢見し  作者: いろはうた
第一部
16/50

浅葱の夢見し

*暗闇の中、一人で、私は立っていた。



長い銀の糸のような私の髪が足に絡みつく。



視界をよぎるのは浅葱色の花びら。



柔らかな浅葱色の花弁がはらりはらりと舞い落ちる。



なんて鮮やかで美しい色なのだろう。



切なくなるほど鮮やかで、残酷なまでに美しい。



恋するようにひたすら見つめ、焦がれた。



闇の中、悲しみの欠片が舞う。



手を伸ばして、それを掴もうとする。



けれども、届かない。



指先をかすりそうになって、また離れる。



透明な水晶の雫が、目から零れ落ちた。



私は、哀しいのか。



私は、泣いているのか。



強い風が下からふき上げた。



透明な雫が、浅葱の花弁とともに風に遊ばれ散っていく。



銀の糸が風に舞い踊る。



―――あれは、私の哀しみの欠片。



わけもわからず手を伸ばした。



指先を浅葱色がひらめいてはすり抜けていく。



いくつもの、私の哀しみの欠片。



届かない。



やがて、浅葱色は視界を埋め尽くした。



ひたすら、浅葱色だけが私を包む。








ああ、なんて美しいんだろう。



―――なんて、美しくて――――哀しいんだろう。


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