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下準備と妖刀ムラサマ

転生者の初期装備にぴったりな棒切れを設置し、まず近くにある村へ向かう。

最新版の地図を村長に渡しとかないと…


「あれー管理人さんじゃん」

「ほんとだー」

「げんきー?」


茂みの奥からポヨポヨと三匹やってきた。

青くてプヨプヨしたマスコットキャラ達だ。


「おっ久しぶりっすね~、元気っすよ。久々の仕事、よろしく頼みますよ~」

「「「まかせとけー」」」


ポヨンポヨンと跳ねる三匹。かわいいなぁ。


「そうだ、この薬草持っといてください」


カバンからアイテム、薬草を取り出す。

こういうのないと序盤はきついもんね。


「おー久々だから持つの忘れてたぜー」

「きがきくねー」

「僕は持ってきてるよ」

「「やるなぁー」」


カワイイやり取りをする三匹に別れを告げ、村を目指す。

道中いろんなモンスターに会ったので、挨拶ついでに薬草を渡しておく。

そんなこんなで村に到着。

村長の家のベルを鳴らすが、返事がない。


「村長ー!いますー?」

「こっちじゃー、裏に回っとくれー」


家の裏にまわると、村長と山賊の頭がお茶を飲んでいた。


「久しいのぅ。地図を届けに来てくれたのかい?」

「そっす、ハイこれ。山賊さんも久しぶりです」

「おう!嬢ちゃんもな!で、今度はどんな奴が来るんだ?」


毛皮を被った筋肉モリモリの大男が詰め寄ってくる。


「名無しの剣豪さんです。めっちゃ強いっすよ」

「おー良いねぇ。ナヨナヨした奴よりやられがいがあるってもんだ」

「頼もしいっすね。あ、あと来るの明日なんで、準備頼みます」

「明日かよ、また急だな…しゃーねぇ。じゃあなジジイ、嬢ちゃん」


頭をボリボリかいて、山賊さんはアジトへ帰っていった。

取り敢えずのイベントとしてこの村を山賊が襲う算段になっているからだ。

いわゆるプロローグイベント。

転生者さんに自らのチートっぷりを体験してもらうのが目的なのだ。


「それじゃ、村長さんも頼みます」

「はいよ。フーちゃんも頑張ってな」


目的を果たしたので、街道沿いの橋を直したりしながら次の大きな町を目指す。

直すと言っても魔法的なもので、グッとすればあら元通り。

ちなみにあの村長さんは山賊さんに殺されてしまうんですよね…演出上の話ですけど。

すると辺りが急に暗くなったので、何事かと見上げるとドラゴンさんが飛んでました。


「ドラゴンさーん!仕事なんで持ち場に戻ってくださーい」

「グアウ!!」

「はいはい、終わったら一緒に飲みましょう。他の人にも持ち場につくようにいっといてくださいねー。お願いしますよ~」

「グァー!」


そう叫ぶとドラゴンさんは飛び去っていった。

ドラゴンさんは中盤以降のモンスターなので、この辺りにいてはゲームバランスがおかしなことになる。

意図的にそうする世界もあるけど、今回は通常対応だ。


さて、町に到着しました。

といってもこの町には大きなイベントはないので、

ここではお店の在庫チェックなどを済ませ、痛んだ石畳を補修するだけ。

さー次は王都ですよー。


「ハーハッハ!よく来たな!」

「相変わらず元気っすね~」

「当然だ!王だからな!」


王様ってそういうものかね、と思ったが言わない。

ここに来たのは、この城にあるダンジョンと宝箱のチェックのためだ。


「こないだ持っていかれたのは、装備品だけでしたっけ?」

「そうだな。鉄の剣とチェインアーマーだけだ。薬草は手付かずだったはずだ」


消費アイテムは大抵、持ち物が一杯だとかで置いていかれる。こちらとしては手間が省けるのでいいけど、持っていって欲しいとも思う。


「じゃあ置いてくるっす。あと、聖剣ですけど…」

「ハーハッハ!この通り冴え渡っておる!当分渡すことはないぞ」


魔王様も大概チートだけれど、この王様はそれ以上のチートなのである。

なんてったって裏ボスだから。


宝箱にアイテムをおき終わる頃には、日もすっかり落ちていた。

勇者様に会おうと思っていたけど、まあ特に用もないので無理に会わなくても良いか。

今ごろはヒロインとも合流してるだろうし、邪魔したらなに言われるか…


こないだスゴい睨まれたな…あれは怖かった…


気をまぎらわすべく、先輩に連絡を入れる。


「先輩ー?序盤の手入れ完了っすー。思ったよりキレイでしたー」

「そりゃよかった。今回はオリ主だから、あんま手を出さなくて良いからな」

「分かってるっすよ、お膳立ては最初だけっす。ところで、妖刀できました?」

「おう、今から送るぞ」

「え、マジすか」


すると、目の前に日本刀がポンっと現れた。

刀身を確認してみるとなんと赤い。うわー。



「これはまた気合い入ってますね、先輩」

「使えば使うほどアンロックされていく仕様だ、そこまでチートにはなるまい」


生き血をすする妖刀ってことじゃないですか。

そういえば喋るって言ってなかったっけ?


「先輩、この刀喋るんですか?」

「もちろん喋る、ムラサマ!」

「ハロー。ムラサマデース」

「…」


どうしよう。すごくうさんくさい。


この刀をどうやって転生者に渡すか、その事で私は眠れぬ夜を過ごすことになった。

転生者さんが来る日の朝、ムラサマに聞いてみた。


「ねぇ、そのしゃべり方なんとかならないの」

「ンー、ムリデース」


転生者さんが寛大な心の持ち主でありますように…

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