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物語は唐突に始まる。  作者: 優 沙里(ゆう さり)
3/5

第三話 物語は徐々に複雑化する。

次話から生々しいです。ご注意を!!


 ううむ……。



 これは、何というか予想外。





 

 その数なんと五人。


 いやはや、ここまで来るとなんか笑えてくる。失笑という奴だろうか。



 俺たちは今体育館の裏スペースにいる。

 ここは人が滅多に近寄らない場所であるためとても静かだ。


 そんな場所に円になって立ち並んでいるわけだが、順に紹介しよう。



 俺から見て、左にいるおっとり美少女がこの前話した村井 未来。

 



 その隣にいるツインテールの女子は一年学年が上の先輩。

 名前は北川きたがわ かおる


 顔はきりっとしていて、常に眉毛が上がっている。

 清楚な感じで、誰から見ても和服が似合いそうなお方。

 

 また、どこから借りてきたのか。長い髪の毛を左右に分けてゴムで止めてある。

 口調はハッキリとした感じ。ちょっと怖い。


「ゴムは指導部の先生らから拝借した。髪が背中までかかって気持ち悪かったからな」


 ついでに部活は剣道部。




 続いて俺の右の人。

 名前は星野ほしの 勇作ゆうさく

 一見してかなりの美女。

 背が高くて羨ましい限りだが、今は考えないことにする。

 

 身体的特徴は、まず胸部がでかい。巨乳の分類になるだろう。

 肌はとても白く、シミやほくろは一つも見あたらない。


 一見してかなり雰囲気の良さそうな高二の上級生だが、欠点が一つ。






 この人、内面が極度の変態へんたいである。






 こいつ、今この状況でめっちゃくちゃ喜んでいる。

 ずーっと自分の身体を触ってる。


 ていうか揉んでる。マッサージしてるよ!! こんな奴が本当にいるとは!


 ……一応のためにもう一度言おう。


 女の身体になると、男の欲望、つまりは女のあれやこれに興味が無くなる。

 もし興味があって、「ああ、綺麗だなー」とか「でかいなー」ぐらいしか感じないのだ。


 しかし、奴は完全に男だ。獣だ。

 もう、頭の中は完全にお花畑の中で軽やかなステップを踏んでるだろう。

 

 さっき俺と話していた時も


「おお! 黒髪長髪の眼鏡っ子、萌える!」


 とかなんたら言って身体をくねらせ始めた。 

 きもい変態である。




 ……だが現実では、吐息が激しく、白い顔を赤めながら身体をもじもじさせているようにしか見えん! なんつうか、エロい。



 うん。でもそのくねらしているのが男だとしたら、やっぱりきもい…





 

 取り敢えず、それは横に置いておくとして、



 問題なのは次の人である。




 どこからどう見ても完全なる男の人なのである。


 どうやらここに来てもう一つ分かったことがあった。


 どうも、男から女にではなく、女から・・・・になった人がいたようだ。


 紹介しよう、山本やまもと 綾香あやかさんだ。

 現在高校三年生。

 

 ルックスはとてつもなくイケメン。

 口元をきらりと光らせたら、間違いなく普通の女子なら落ちるだろう。


 さらに身長が180cmと長身であり、短く切りそろえられたその髪は清潔感を漂わす。

 

「二次試験、二次試験……」


 そういえば、もうじき本入試が始まる時期だ。

 勉強に集中しなければならない時期に大変だろう。



///




 全員の紹介が終わった。


 皆共通していえることは、朝腹を下し、朝トイレに入った。

 それから、洗面所のガラスで見ると、性別が反転した。


 今回の件で分かったのは男だけでなく、女も性転換するということであるが、実質的な解決策は依然として分からないままだ。


 

「……というわけです」

 と、俺は簡単に説明すると、

「ふむ、するとこの現象は朝腹を下すことがキーポイントになるのだな」

「ええ、そういうことです。北川先輩」


「まあ、僕は今のままの方が幸せだけどな~」

「星野先輩は黙っていて下さい。気が散ります」


「これからどうすればいいのかしら……。まさか、一生このまま……」

「山本先輩、気をしっかり持って下さい」


「これからどうする? 優」

「ああ、今色々考えた。これから説明しよう」




「取り敢えずの状況からして、今回の状況を引き起こした原因は考えられる限り、二つほどあります」

「それは、俺がキーポイントと言った朝腹を下すということだな」

「ええ。先ずはそれが第一に考えられる原因です。五人全員が一致していることなので偶然にはおかしい」

 うむ、流石は北川先輩だ。

「じゃあ、二つ目は?」

「第二の原因はそれぞれが、腹を下した原因そのものです。例えば、変なじいさんに薬をもらって飲んだとかですかね。原因は一体何なのかを突き止める必要がありそうです」



「さすがにそれは無いんじゃないかな」

「え? どうしてですか、星野先輩」

「何となく」

「ぶん殴りますよ?」

 

 

 この人の目が爛々と輝き始めた。

 にやけないで下さい先輩。

 

 あれですか、どMですか。


「こんな変態の意見は聞かなくて良いのよ、優君」

 山本先輩もついにこいつは変態だと見切ったようだ。






「では、気を取り直して。これから貴方自身が考え得る腹痛の原因を話して下さい」






///





 次の文は腹痛の考えられる原因を、書き留めたメモだ。


『食べ過ぎ、腹が冷えた、寝る前に冷たい物を食べた、消化の悪い物を食べた、

 勉強のしすぎ、ストレス、オ○二ーのしすぎ 』



 最後のは抜きにして、ごく普通の原因だ。

 つまり、単なる腹痛であったと考えられる。



「あ、それと、最近便秘気味だったんだよね」

 考えながら、未来が言った。

「俺も、久しぶりの大だったな」

「あたしも」

「僕はいつもの通り快調だった。みんな便秘って、ストレス抱えてるんだね」



 便秘の原因がストレスとは一概にいえんぞ。

 ちなみに俺は毎日出ている。


 出てない人はおなかをさすったり、腰をひねったりして運動することをお奨めする。

 詳しくはネットなどでたくさん出ているから調べてみると良い。




「じゃあ、これは原因ではないのか」


「他にも原因があるのかもしれません。他に気になったこととかありませんか?」


 

 その後も、様々な意見を出して、模索したが残念ながら見つけることはなかった。


 気づけばもう時刻は午後六時。あまりに熱中しすぎて周りの暗さなど考える余地がなかった。

 そろそろ家に帰らなければならない。


「ではここらにしましょう。明日の朝、またここに一端集合しましょう」


 こういう時携帯電話話は便利だ。

 メールアドレスさえ知っていれば瞬時に情報を察知できる。


 情報多寡社会の代表機に大いに感謝しつつ、互いにアドレスを交換し、その場を離れた。



 帰宅している時に気がついたのだが、この件、家族も分からないのだろうか。


 もしも、家族がこの現象に気づいていたらどうやって説明しようか。

 もっとも、多分気がつかないのだろうが。




 今更、どうあがいたって、この身体が元に戻るわけでもない。

 むろん、あの変態のようにこの状況を喜べはしない。


 が、人生はあきらめが肝心だろう。



 今のところ、女の姿になった生活に支障はないのだ。

 それだけでも良しとしよう。



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