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出港

「ホントなんですか!?『イシス』が占拠されたってのは?」

エルセントの言葉を聞き驚きの声をあげるエルク。

「三日程前から連絡がつかなくなってな、ネット上で占拠されたなんて情報が出回ってきたのでなそれで

ようやく上層部が重い腰を上げ、何が起こっているか確かめる為に偵察隊を出す事になってな」

「三日!?何を悠長なっ!」

珍しくカイトが声を荒げ、はき捨てる。

「不満かもしれんが、上層部にアレコレ言う訳にもいかんだろう、少なくとも調査には行くんだ」

「すいません、いきなり……」

カイトが謝る隣でエルクがのん気に、

「へぇー、偵察に行く奴らもこりゃぁ大変っすね」

「何を言ってる、エルク、カイトお前たちも行くんだ」

……………………

エルセントの言葉に絶句し一瞬沈黙した後、

「うぇぇぇっ!なんで俺たちなんですか!?第一この機体どうするんですか?」

絶叫するエルク。

「今この基地に最低限の警備隊を除いてほとんど合同訓練などで出てしまっている、人員が足りんのだ、我慢しろ、『イグニス』『シュテッケン」は置いていく最終調整もしなければならないからな」

「『お前達も』という事は俺たち以外にも誰か?」

横から口を出したのはカイト。

「シーアも同行する」

「うげっ、アイツもですか――俺なんか頭痛いんですけど……」

不機嫌な顔で言い訳するエルクだが、エルセントは無視し言葉を続ける。

「準備ができ次第、Bブロックの巡洋艦『シルバー・ナイツ』のブリッジに集合――以上だ」

――いきなりの合同訓練命令の最中に『イシス』基地の占拠――何かが動いている、何かが――

エルセントは胸の内に底知れぬ不安を抱いていた。


「エルク遅いわよ、何やってんのよ」

そう言ったのはカイト達と同じ年齢だろうか、髪は栗色のロングで同じく軍服を着ている、

美人ではあるが口調はかなりきつめだ。エルクとは『スペリオル』に入ってからの仲で

カイトとは幼馴染であり同じパイロットをしているが、どうにもエルクとは少々ソリが合わない所がある。

「シーアそう言うなよ、準備に色々手間取ってさ」

「どうせ、女の子達に声でも掛けてて遅くなったんでしょ」

シーアの言葉にエルクは動揺することも無く、気取った表情で指をピシッと一本立て、

「ふっ、女の子無くして俺の人生は無いっ!」

「自慢げにいうなぁぁぁっ!」

どげしっ!!

メイアの蹴りがエルクの腹に直撃し、エルクはその場にくの字になってブチ倒れた。

「お前たち……どうでもいいからブリッジの前で騒ぐな……早く入れ」

頬に汗を流し、呆れた表情で言うエルセント、

「だから……嫌だって言ったのに……」

言い、ブリッジに入るメイアの後ろを腹を押さえたままエルクはついて行く、

エルク自体に問題がある事に本人は消しゴムのカス程も気づいていない。

ブリッジにはカイト達を除き、六人――艦を動かす最低限の人数しかいなかった。

ブリッジの大型ディスプレイの前にエルセントが立ち、説明を始める。

「今から約十二時間後『イシス』基地のある宙域に到着する、その後エルク、カイト、シーアの三名で『フェイ』偵察装備型で警戒しつつ『イシス』に距離二千まで接近――調査、『イシス』基地宙域映像を本部に送り、その後内部を調査し、内容を報告」

「説明は以上だ、総員配置につき次第出港する」

『了解!!』

そして――『シルバー・ナイト』は出港した――『イシス』基地に起こっている事を確かめる為――


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