11.地理構造 ― 北海領域の地形と四県の位置関係
北海領域の地理構造は、現実の北海道に類似しながらも、
いくつかの決定的な相違点によって“別世界”として成立している。
地形そのものが軍政・文化・気候と密接に結びついており、
住民の生活圏の分断も地理的条件によって強く規定されている。
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● 1. 石狩県(西部海岸域:主要生活圏)
石狩県は、北海領域でもっとも人口密度の高い地域であり、
君が1年間生活した“石狩の集落”が位置する。
現実の札幌を思わせる位置に相当するが、
手稲山が存在せず、代わりに“低い丘と途切れた森”が西側に広がる。
中心部西側には さっぴぃりか(sappirika) と呼ばれる集落がある。
豊平川に相当する大河の北西岸に近接し、
昼間には「轟音が響く」ほどの強い流れを持つ。
水面は季節や天候により
茶(濁流)/白(反射)/青緑(鉱物成分) の三段階に変化し、
土壁の建物に反射して“青白い景観”を形成する。
石造りの“赤いメイン通り”は軍政区画に続くルートであり、
一般住民・子どもは立ち入り禁止とされていた。
この通りの存在そのものが、石狩県が
軍政の影響を強く受けつつも、生活文化が混在する 地域であることを示している。
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● 2. 上川県(中央高地・海水湖域)
上川県は北海領域の中心に位置し、
大きな海水湖が地形の核となっている。
湖は外洋との地下水路でつながっていると考えられ、
地震や風の現象と深く関係している。
湖を囲む集落は“神様の土地”と呼ばれ、
独自の部族語が保持されている。
高台と谷が複雑に入り組み、
風が通り抜ける時には“歩行困難な暴風”となる。
風による地形浸食は年ごとに進行しており、
川の合流点に形成される砂州が
季節によって位置を変えることが確認されている。
上川県の地形は、石狩県とは逆に“開放的かつ脆い”。
昼は穏やかだが、夜は冷え込みが強く、
湖面が“薄く光る”現象が複数回観測されている。
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● 3. 根室県(東部:軍専用域)
根室県は、北海領域の東端に位置する軍専用の地域である。
現実の根室に相当する地形だが、
海岸線の形状が直線的で、
“陸から海へ風が吹き下ろす”のが特徴。
一般住民は存在せず、ほぼ全員が軍属。
地形的には平野と海岸の境界が近く、
強風により海霧(ガスに近い白煙)が内陸へ入り込みやすい。
川は少なく、水の多くは地下水から供給される。
周囲の丘陵は低く、視界が開けているため、
軍の視察・行軍には適しているが、
住居には適さない“硬い土地”である。
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● 4. 松前県(南西部:静寂と交渉の地)
松前県は南西の端に位置し、
現実の松前よりさらに人が少ない。
地形は細長い岬状で、
海は近いが潮の匂いは薄い。
これは沿岸流の違いによるものと考えられ、
“静寂の地”として住民に認識されている。
江戸文化に近い建造物と古語的発音が残り、
他県との“交渉の場”として機能している。
弘前県に相当する地域から来る
“ちょんまげ文化”の人々がここに出入りしている記録がある。
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● 5. 北側の禁域(森の守り)
北海領域の北側には、
“グギャァ(仮称)”と呼ばれる、
古くからの民が住む禁域がある。
現実では旭川~上川町付近に相当するが、
ここには人が立ち入らない。
理由は地形的危険性ではなく、
“文化的禁止”の側面が強い。
森は異様に密度が高く、
風も届かないため音が吸収される。
住民はこの地域を
「昔からの人が住む」「入ってはいけない」と表現する。
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● 6. 地形と軍政・文化の相関
四県の配置と自然条件は、
軍政の境界線と完全に一致している。
•石狩 → 生活と軍政の混在
•上川 → 祈りと風の文化
•根室 → 軍の単独支配
•松前 → 交渉の地
•北側の禁域 → 文化的結界
これらは偶然ではなく、
地形そのものが生活圏を分断し、
文化・政治・軍事が自然に形成されていく構造を持つ。




