彼女の本当 - side 吉田美玖
(読み方:よしだ みく)
ある日の放課後。
ほとんどの生徒は帰ったであろう時間帯に、図書室の扉が空いた。
この時間ってことは、と思い、視線を向けると、いつも通り、水野さんが立っていた。
「いらっしゃい」
今日一日疲れたであろう彼女を、笑顔で受け入れる。
「これ、読み終わったよ。」
そう言って手渡された本は、先週私が薦めたミステリー本だった。
「どうだった?」
すると、彼女は表情を変えて――
「まず、この本のトリックすごすぎるし、犯人が意外すぎてびっくりしたし、最後急に展開がどんでん返しになって、暴かれた犯人が全員消し去ろうとするところも王道だし、そもそも字数合わせるの大変だったろうし、もう、本当に尊敬しか湧かなくて!死ぬ前に読めてよかった!!」
そう、彼女の本当の姿は、大の本好きなのだ。
クラスでのことはおおよそ先生から聞いているけれど、彼女が彼女であれるこの空間を壊したくなくて、教室の話は絶対にしない。行事の話だと愚痴をこぼしてくれるときもあるけれど、基本的にはあの最新作がどうだとか、そういう他愛もない話ばかりだ。たぶん、彼女はそういう話のほうが好きだから。
「だよね!あのトリックはもうびっくりすぎて!気に入ってもらえてよかった〜」
「ふふふ、先生だって分かってたくせに」
二人きりの図書室で、笑い合う。
誰もいないのだから、多少は騒がしくても、いいのだ。
「これでも司書なんだから、ほんと笑っちゃう」
彼女が私だけに見せる本性を今日も真っ直ぐに受け止めるのが、私の責務だ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
夜子への印象は、変わってきましたかね?まだ書きますよ〜
ちなみに、本人の視点を全く描かないのは、桐島(桐島、部活やめるってよ)風です!
朝日リョウ先生の作品も読んでみてください (^^)♪
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