見つけた痕跡 - side 成井颯太
(読み方:なりい そうた)
人のいなくなった校舎をゆっくりと歩く。
約束通りの時間に教室に行くと、先生が待っていた。
「こんにちは。元気ですか。」
「なんとか。」
俺は高校に入学してすぐ、不登校になった。
別に、いじめとかじゃない。
中学の時から不登校で、高校こそ毎日通うぞ!と意気込んだものの、やはり上手く馴染めず、お言葉に甘えて、休ませてもらっている。
といっても、週一回は学校に来て特別な教室でテストを受けているので、別にダラダラしているわけではない。
「それはよかった。さ、そこに座って。」
促されて、近くの椅子に座る。
面談は15分ほどで終わった。
「じゃあ、元気でな。」
「ありがとうございました。」
先生が去り、静かな教室にひとり取り残される。
ふと、ひとつの机に視線が引き寄せられる。
『うざい』『死ね』『消えろ』『馬鹿』
書き殴られた複数の単語。
...いじめか。
椅子の名前を見ると、なんだか見覚えがあった。
『矢羽理子』
ああ、初日に話しかけてきた女子だ。
いじめられてるんだー...。
一応消しておいてやるか。
こすってみると、名前ペンで書かれているようだった。
教卓から予備の消しゴムを引っ張り出し、机を力任せに擦る。
五分かけて綺麗に消し終わった。
「ふう...。帰るか。」
本人に知られる必要はない。
親切とは、そういうものだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
隠れイケメンキャラです。もう出てこないけど笑
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