また逃げる - side 柿本倫也
(読み方:かきもと ともや)
「おはようございまーす」
元気に挨拶してきた生徒がひとり。
自分から挨拶するなんて、とこの学校では感心してばかりだ。
「おはようございます。」
機械的なようで、確かな会話のキャッチボール。
この時間が、たまらなく好きだった。
翌日。
「上履きがなくて。」
教室に入ってすぐ、矢羽さんに声をかけられた。
矢羽さんがいじめられているのも知っているし、いじめを黙認してしまっているのも、また事実だった。
だって、あの女は、女王はとてつもなくやばいのだ。
「もし偉い人に告発したら、家族はどうなると思う?」
あの日、受けた脅迫。そんなことできるはずないと心の何処かで思いつつ、でもアクションをできない自分がいる。
女王がこちらを見ている。
情けない大人だと、馬鹿にされた気がした。
学校に来なくなった山田が頭によぎる。
人のことを心配する余裕すら、自分にはない。
「とりあえず、1階の卒業生の上履きを借りてきなさい。あとで一緒に探そう。」
「はい」
いまの自分にできることは、これしかなかった。
そう心の中で思い込んで、今日も問題と向き合わなかった。
翌日。
珍しく何も起こらない一日だった。
弁当を落とすわけでもなく、上履きを隠すわけでもなく、教科書もなくなっていなかった。
こういう静寂が、逆に怖かった。
次に、やばいことが起こる気がして。
翌日。
「昨日言っていた課題を回収するので、後ろから回してください。」
パラパラ
ガタッ
色々な音が、動きを体現する。
その中に紛れて、メモを回す女子が視界に入る。
注意するべきだ。でも――メモの行き先はきっと女王。
もし、邪魔したら?
「もし偉い人に告発したら、家族はどうなると思う?」
再び、あの言葉が脳を反響する。
やっぱり、やめておこう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
生徒だけじゃなく先生も入れてみました。
女王がどんどんやばいキャラになってる笑
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