round2
年が明けて元旦の朝。俺は大型家電量販店に来ていた。手には最新ハードである |PLAY STATIONARY5 と、ソフト「ギャラクシアン・バーリトゥード3」を手にして。っつーかプレステっていつの間に5まで出てたの?
お年玉を手に押し寄せていた子供たちに紛れてレジに並ぶのは恥ずかしかったが、帽子やマスクで変装した俺が茄子原武だとは誰にもバレてない。 いや、カードで支払った時に店員にはバレてたかもしれない。こういう時、リングネームで活動しておけば良かったと思う。
量販店から出た俺は、とっとと電車に乗って帰ろうと駅を目指す。信号待ちをしている俺の前には女子高生と思しき女の子が立っている。手には俺と同じ量販店の袋。この子もお年玉で買ったゲームを早く帰って遊びたいんだろうか。俺も、中学生以降もゲームから離れていなけりゃそんなゲームキッズになっていたのかもなぁ。そんな事を考えていたら、信号が青に変わる。いち早く駆け出す女の子。歩行者信号は青なのだから、車道の車は来ないはず。はずなのだが、1台の乗用車が交差点に突っ込んで来るじゃないか。
「あぶねえ!!」
俺は持ち前の反射神経を駆使して、車道へと飛び込むようにして女の子を突き飛ばしていた。
次の瞬間、今までに味わったどんな打撃よりも重い衝撃が俺を襲い、ミドル級の体は宙を舞う。乗用車を運転しているジジイのすっとぼけた顔が腹立たしかった。おそらくブレーキとアクセルを踏み間違え、人間を轢いた事にすら気付いていないのだろう。地面に叩きつけられると同時に遠のく意識。さすがの世界最強格闘家も、車には勝てなかったみてえだ。