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 まるで暖かな日差しや、やさしいそよ風、木立の揺れるざわめきまで、すべてがわたしたちを包んで祝福してくれているかのような、そんな日だった。



「美雨」


「はい」



 銀狼に名を呼ばれて、わたしは彼に向き直る。



「これで君は正式に我が家の一員に加わることが許された」



 彼はただ単純な喜びだけではない感情を噛み締めている。



「恐らく、手に入れる権利や立場以上の重圧が君を襲うだろう。それでもどうか、わたしを支え共に生きてほしいーー」



 ああ、銀狼はこれほどにわたしを思い遣ってくれているのだわ。


 だからつい、わたしの反応も仕方ないと思う。



「ふふっ」



「美雨?」



 真剣な彼の言葉に対して、笑ってしまうなんて失礼だったかもしれない。


 けれど……



「銀狼、わたしのことは心配いりません。もうすでに、貴方からはたくさんのものを受け取っているから……。これからどんな苦難が襲ってくるとしても、それを全て受け止められるくらいに、わたしは銀狼とこうしていられる時間で報われている気がします」



 口に出してわかった。



 これがわたしの心の中に生まれていた気持ち。

 もう二度と受けるはずのない、試しの儀式に再び挑む時だって、その環境に飛び込めた理由。



「ーーーー!」



 目の前で、銀狼がひそかに目を見開いたのがわかった。




 彼のいう通り、まだまだ試練は多く、わたしが本当に銀狼と生きていくためには学ばなければいけないことだらけ。


 術師の普通の考えからすると、どこか外れたところがあるわたしの力についても、これから知って、自分で使いこなさなければならない。


 でも、今はなにも怖くない。



「美雨」



 ゆっくりと、わたしの名を呼びながら彼の唇が優しい弧を描いて微笑みを形作った。


 たった一つ前の季節には想像もできなかった幸せを、わたしは目の前の美しい彼と分かち合っていた。





        第一幕 終了




挿絵(By みてみん)



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。



第二部も予定しておりますが、ひとまずの区切りとして、いったん完結表示にしました。

ここからは先にエブリスタにて少しずつ掲載していき、まとまったところでこちらにも転載するつもりです。

https://estar.jp/novels/26058917



また、その間に西洋風の別作品

『公爵令嬢アイリーン  〜1度殺された妃は、それでも愛する人のために過去を変える〜』

を「小説を読もう」で掲載していきます。

https://ncode.syosetu.com/n2608ik/



もし機会があればご覧ください。

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