#6 異世界クラフター
俺は目を覚ますとおもむろに立ち上がり近くの木に蹴りを加えた
「いってぇ!」
その俺の奇行をネロはただ見つめている。
いや気が狂ったんじゃなくてそういえば某有名クラフトゲームの最序盤って木を切るところから始まるよなって思ってやってみたんだけど。そりゃ無理だわな。あんなん手で伐採できるの何てあのおっさん以外無理だよ...俺は川辺の石に腰掛けリンゴをかじる。
今日は何すっかな...っは!何考えてんだ俺は!元の世界に変える方法はどうすんだよ何1日でこの世界になれちまってんだ!
でも来た方法も帰り方もわがんねぇ
考えても分んないことは考えない!意味ないことにリソース使うのはバカがすることだ「今日何する」が今の俺にとっては重要だ。とりあえずどこを拠点とするかが重要だな昨日は疲れてて寝ちゃったけどよくよく考えるとあんなウサギがいる草原で寝るのは危なすぎる起きた時に体にウサギが刺さってるとか笑えない。そして俺の視線の先には洞窟のようなものが見えている今日行くところは決定だな。
「よしネロ行くよ」
そういうとネロは俺の近くに来て後ろをついてくる。なんか襲ってきたとしてもネロが要れば大丈夫そうだななんたってあんな魔法が使えるんだから。最悪俺だって棒があるし靴下もあるからブラックジャックも作れる。戦えないことは無い…近距離戦しかできないから怪我必至だろうけど。
俺達は周りに警戒しながら洞窟にたどり着いた。洞窟といっても突き当りが見えるくらいまでしか深さがない。それでも雨宿りはできるし全方位から襲われなくなるのは嬉しい。逃げ場がないともいうけど。
俺はたどり着くと持ってきたリンゴを置きウサギの角と皮そして棒を用いて簡易的な槍を作った。
『習熟度が一定に達したためスキル【工作:武器】を獲得しました』
うぉこれでももらえるのか。
俺が驚いていると今作った槍のつなぎ目が密着していき強固に固定された。不格好だし強度もないけど少し距離を取って戦えるようになった安心感はでかい。
さて今後の生活のためには木材の加工ができると一気に楽になるんだけどどうすっかな昔の人ってどうやって加工してたの?いやもしかしたら適当に作ればスキルが補正してくれるかもしれないな。そのためにまず俺が自力で作らなくちゃいけないんだけど。
考えても仕方ないなとりあえず木材を確保しないと俺が切ることはできないからネロに頼んで切ってもらおうかな。なんかネロに頼りっきりだな俺。でも現代人がこんなとこにほっぽり出されてできることなんて限られてるだろ。俺は立ち上がり槍を握りしめ森に向かう。その後ろをネロがぷにぷにとついてくる...