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祝福シリーズ

後日談その1:お仕事の時間(終わるまで手加減なし)

作者: アウリィ

相も変わらずゆるーい設定です。

執務室に行けば書類の山が待っている。

当然と言えば当然なのだが見たくはない代物だ。


…できれば逃げ出したい。


そう思うもオーレリアの後ろにはお目付け役の2人が、絶対に逃がさないと言わんばかりについてきている。

大聖堂の上層部で一騒動起こしたのだから、仕事しろということだ。

「こんなことでロードなんて身分を自覚したくなかったなぁ」なんて考えながら、ロード・カスティニオーリもとい、オーレリアは執務室に向かっていた。


国から独立した権限をもつ大聖堂。この組織のトップには御三家と呼ばれる3つの家系・派閥があり、それぞれが「ロード」と呼ばれる大司祭を輩出して総轄している。

先日、新たな国王に「大聖堂」から祝福をと言い出した問題児こそ、御三家の1つであるカスティニオーリ家の「ロード」。その名を、オーレリア・アーヴェ・カスティニオーリという。


「これ、全部?」


「全部よ」


「まだ置いていないだけで、追加分もありますよ」


書類の山を見てげんなりしたオーレリアに、彼女直属の部下でありお目付け役である男女はきっぱりと言い放った。

基本的にロード相手に堂々と意見を言えるのはセヴンスと呼ばれる7人の司祭だけである。それぞれのロードが任命するセヴンスは2人までで、御三家から計6人、公平性を重んじるために中立派として1人が任命されている。

オーレリア相手に遠慮なく仕事をまわしてくる男女も当然セヴンスであり、オーレリア本人が指名した存在だ。そしてこの2人、オーレリア相手に容赦ない。「ロードの名において」という場合を除き、放浪癖のあるオーレリアの首根っこつかんで仕事させる程度に容赦がない。


「フラウ、紅茶飲みながらがいい」


「ダメです。飲みたかったら置き場ができるくらい片づけてからです」


オーレリアの要望はフラウと呼ばれた男性にあっさり却下された。ガックリ首を落としたオーレリアを後目にフラウは残った書類を取りに行くと部屋から出て行った。

その様子を見ていた女性は盛大に溜息をついた。


「自業自得よ、オーレリア。当面の仕事を引き受ける代わりに我儘を聞いてもらうって約束を他のロードに取り付けたのでしょう? セヴンス全員の前での誓約だったのだから諦めなさいな」


「何時にも増して容赦なくないか? セレス」


「わたくしはいつも通りよ。はい、甘えないで仕事仕事」


セレスと呼ばれた女性もまたオーレリアをバッサリと切った。

泣く泣く仕事に取り掛かる彼女を見て、「やればできるくせに、逃げるんだから」と言葉に出さないセレスは、正式名をセレスティア・フォン・カスティニオーリという、ただただ呆れた。

ああ見えて、オーレリアは割と万能タイプなのだ。やろうと思えばデスクワークだろうが魔物の討伐だろうがきっちりやってのけるだけの実力がある。何だかんだでロードの地位を確立しているだけはある。あるにも関わらず、面白いかつまらないかで判断してやりたくないことから逃げ出して、後からツケを払うことになっている。

ぶっちゃけ夏休みの宿題を溜め込む子どもと同意義だと思っているのは大聖堂上層部の共通認識だ。オーレリア当人は知らないが。


閑話休題


「はい、今日はここまで!」


「ダメに決まってるでしょう」


「定時であがっていいのは下の役職だけよ、諦めが悪いにもほどがあるわ」


「もう日が暮れかけてるんだが!?」


分かり切っていることではあるが、オーレリアの抗議はこの2人によって一蹴された。

オーレリアのいう通り日暮れ時ではあるが、今日の分としてはもう少し片付けて置くべきだと判断した容赦のない判断に、今度こそ机に突っ伏したオーレリアからは普段の覇気は感じられない。精魂尽き果てたと言わんばかりの彼女だが、自分のセヴンスである2人にはこのような場面でも強く出られないところがある。

実際、オーレリアは身内に対してかなり甘い。ロードを絶対とするカスティニオーリの中で、必要な場合を除いて、自分自身が好き放題しているオーレリアは家と派閥に属するものを異様に甘やかす節があり、その結果不祥事が起こることも多々あるのだが、それすら許してしまう。当然責任の所在はオーレリアに回ってくる。にも関わらず、懲りない。

今回このようなことになっている原因ですら、友人が国王になった「お祝い」がしたいという身内贔屓の結果なのだ。


つまるところ、


「「自業自得なんだから、仕事なさい」」


これに尽きるのであった。

時間ができれば、違うシーンも書いていきます!

書いたら読んでやっていいぜという方、ぜひ☆をお願いします!やる気メーターぐんぐん上がるよ!

現在、後日談その2書いてます!

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